#100 ワナをしかけよう 1
「――もう大丈夫です。行きました」
席を立った魔法使いが完全に食堂を出たのを確認してから、ノスビーはカンキムに伝えた。
「あんな感じでよかった?」
「バッチリです。あの魔法使い、すっかり信じたみたいでしたし」
もちろん気配はなくても、聞かれてたのは承知の上。むしろわざと聞かせてたってのが真相。
「マリセラさんにも別のところでウワサを流してもらってますから、何日かであちこちに広まるはずです」
「なんか悪そうなことたくらんでるねー」
ノスビーの顔を見て、カンキムがニヤニヤしながら尋ねてくる。
「悪そうとは失礼にゃりね。今のところ合法にゃりよ」
「将来的に違法になるみたいな言い方やめてよ!」
もちろんノスビーたちがやろうとしてることは、今も将来も違法になるような心配はない。
スボラスとベリリアは違法でも気にしない様子だったけど、運営が許可しなかった。
「この後もやることいっぱいだし、あたしも忙しくなるねー」
「すいません、他に頼める人がいなくて」
ノスビーが頭を下げると、カンキムは笑ってフォークを持った手を振る。
「フレンドの頼みなんだから、断るワケないじゃない」
その姿があまりにもサマになってたから、ノスビーはバシャードじゃないけど姉御って呼びたくなった。
「さすがキン○マ、男前にゃりね」
「この場で死にたい?」
「キ……カンキムさん、それは今でも違法ですから!」
ベリリアの眉間目がけてフォークを振り上げるカンキムを、ノスビーは全力で止めた。




