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6話

僕達が戻って来た頃には混乱が起きていたようだ……。

「凌君、どういう事なんや? 小明の状態が急に良くなって来て、明日、精密検査を受けるという事になったのは善い事なんやけど、凌君、君の話をしてたら、急に、凌君って誰?って言い出したんや……」

小明のおやじさんをはじめ、お袋さん、おやじとお袋が家の前に集まっていた……、まあお隣同士なんやけどね。

「凌……、まさか、ほんまになっているとは思わへんかったな……」

「せやな……、優君」

「それはどういう事なんや?」

僕達の会話に、小明のおやじさんが反応した。

「実はですね……」

僕は事の顛末……、自分達は神様に祈願を立てた、そして、自分は声を聞いた……、小明の自分に対する記憶を封じる代償として病気を治す、それに自分は同意したのだと……。


「凌君はそれで良かったんか?」

おやじさんが尋ねて来た。

「良かったも何も、小明の命が助かる事が第一やないですか? 今の小明がどう思うやわからへんですけど、影から護る事は出来ますさかい、彼女を護るに相応しい男が出来る迄は……」

僕は答えた。

「凌君はほんまにそれでええんか?」

おやじさんが食い下がって来る。

「仕方あらへんでしょう? 今の小明と自分は赤の他人です。幼馴染の関係性を持ち出したら、小明を混乱させるだけで、何もええ事あらへんですから」

「そうか……。なら、仕方あらへんな……。自分達も従わなあかんな、近所の者はええけど、学校の友達やその他の児達には難しいやろな……」

「それは仕方ありませんわ……」

「小明には、凌君の事忘れたらアカンでって言い聞かせていた矢先やからな……、人間の意思なぞ、神やどうかわからへんけど、巨大な力の前には無力やったっちゅう事やな」



「(私は何か、大事なもんがすっぽり抜けてしまったような気がする……。それが何や?っていうのはわからへんねんけど……)」

身体の調子が良くなって来た思うたら、何か、忘れたらアカンものがすっぽり抜けてしまった。そして、父さん、母さんが言うてた、凌君という名前の子の顔、エピソード、声なんかがちっとも思い浮かばへん……。何でも、凌君は幼馴染の男の子で、いつも一緒やったって母さんが言うてた。そして、今日は、優君、彼の事は覚えてる、と神社に私の病気を治して欲しいって祈願しに言ったんやって……。それやのに、忘れてまうなんて……。


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