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プロローグ
僕には、幼い頃からいつも一緒だった少女がいた……。
いつも、凌君(凌夜っていうんだ)、凌君ってついて来る少女だった……。容姿も可愛くて、明るくて優しくて、男女共に人気があり、告白も何度かされたらしい……。そんな彼女がいつも傍に居る。それが当たり前だと思っていた……、彼女が難治の病気を患い、入院生活に陥る迄は……。そして、彼女が病気を治す願いの代償として、僕に関する一切合切の記憶を、彼女から消し去られる迄は……(詳しく言えば、エピソード記憶自体は残るが、関係していた相手が僕だという記憶が消し去られたらしい……)。
彼女がクラスメイトと共に消えてしまった時、僕は本当に、自分の目の届かない所へ行ってしまい、もう一生逢う事は無い……、そう思ってしまっていた……。