見届けなければ・・・(1)
歌が響く寂れた街に、彼女たちが乗り込んできた。
復讐の日――ゴーストパレードを明日に控え、夜が静かに世界を覆うこの時に。
コノハサクヤ。そして、初雪の友人たち。
「……今しかないものね」
コノハサクヤがなぜ彼らに肩入れをするのかはわからない。
彼女はゴーストチャイルド――初雪を討てればそれでいいはずなのに。
そして、コノハサクヤにどこまで聞いているのかは知らないけれど、彼ら――初雪の友人たちの目的は、初雪だろう。
――今しかない。
そう、今しかないのだ。
初雪を取り戻すチャンスは。
……けれど、取り戻したとしても、初雪は助からない。
そのことを、彼らは知らない。
コノハサクヤも気づいていない。
ゴーストだけが、気づいている。
――やり遂げなければ、初雪は救われないのだ、と。
ホテルの前で、話し合いをする彼女たち。
コノハサクヤがいるということは、私たちの存在は彼ら全員に知られているだろう。
同志たちによる取り押さえは難しいかも知れない。
それでも、大丈夫だ。
何の問題もない。
初雪が、自分から復讐の歩みを止めることは、ありえない。
……あの子は、優しい子だから
私たちの――ゴーストの想いを踏みにじれることはなく、1年前にはもうゴーストチャイルドとして復讐にすべてを捧げる決心もある。
そして、あの子はゴーストチャイルドだ。
やり遂げるしか、道はないのだ。
それをしなければ、救われない。
だから、何の心配もない。
なのにどうして、私はこんな心境――何かがざわめくような心境で、彼らの様子を眺めているのだろう?