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銀の薔薇に祈る  作者: 新田 葉月
お茶の時間
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第三話 精霊たちと

 絵を描くときキシはいない。

 近くに人がいない方が集中して絵が描けるのできっと考慮してくれているのだと思う。

 キシの距離の取り方は上手い。

 敬意を示してくれるがたまに友人のようにふざけあったり、一緒に遊んだりしてくれる。あまり気を使いすぎず、でもしっかりとティーリアのことを見ていてくれる。守ってくれるとはいったが自分で対処出来ることは手を出さず、ティーリアを悪意から完全に遠ざけたりはしない。


 その方がティーリアを成長させてくれるし、悪意から完全に遠ざけてもらってなにも知らないままと言うのはティーリアの本意ではないからありがたい。此度の後宮の件はティーリアの成長に繋がると思っての放置したらしい。

 会ってすぐに謝られた。


 “勝手に判断してしまい、申し訳ありません。ですが、ここはティーリア様を輝かせてくれます。きっとここでの生活はファンレーチェとして生きる上での力になるでしょう”


 レディアに会えないと嘆くティーリアに優しく諭してくれた。そのおかげで心穏やかな日々を過ごせているのだ。ティーリアは描く位置を決めて座った。

 ここ最近は風景画ばかり描いている。昔は人物画が主だったのだか、モデルになってくれる人がいないので仕方ない。それに風景画を描く楽しさも見つけた。鉛筆をとり、紙に地平線を描く。風景画で最も大切なのが奥行きや立体感だ。小さな紙にいかに自然の雄大さを表せるかが問われる。風景画に関してはまだ素人のティーリアはまずは最も描きやすいとされる中距離を描く事にしている。


 ティーリアのいたダウス邸には近くに大きな森があった。


 そこの自然は険しく、雄大だった。ダウス邸とは違い、ここの自然は穏やかでとってもティーリア好みだ。勿論、ダウス邸の自然も好きなのだが、一度そこで死にかけたせいかなんとなく怖い。

 手を動かしているとティーリアの近くに精霊がよってきた。

『ひめさ、たのし』

 舌っ足らずな喋り方が可愛らしい。これは姫様楽しい? ときいたのだ。

「楽しいよ」

 まだ人型のとれない下位精霊は水の玉のようになってふよふよとういている。


『姫様、今日のお菓子はなんですか?』

 先ほどの精霊より安定している風の中位精霊のミヤナが話しかけてくる。

「ちょっと待っててね」

 自分の座っていた位置に線をひき、立ち上がる。


 初めに話しかけてきた水の精霊は菓子を食べられない代わりに飲み残したお茶を吸収している。水の精霊たちはお茶を上手にいれるキシの事が大好きだ。

 キシは精霊からとても好かれている。キシが来ると下位精霊がまわりに群がり姿が全く見えなくなる。さらには上位精霊もやってきて大事になってしまう。一度、水の精霊王がやってきて騒ぎになった。それからキシは来るときは精霊除けの結界を張っている。魔力の高く、質の良い者を好むのだろう。レディアもそうだった。

 ルロニア王国には魔術、剣術に優れたものがたくさんいる。だが、魔物が多く出現するため周囲にはられた退魔の結界のせいで精霊が入りにくく、ほとんどいなかった。なので群がられることはなかったが、一度ここへ来たとき一気に押し寄せてくる精霊に驚いていた。


『姫様、時間はよろしいのですか?』

「へっ!?」

 気がつくといつの間にか日が暮れかけていた。絵を描くのは楽しくてあっという間に時間が過ぎてしまう。

「急がないと」

 慌てて道具を片付けて隠す。走り出すと急に身体が軽くなった。

『仕方ないですね、姫様このままじゃ間に合いませんもの』

 ミヤナが風を操ってティーリアの背中を押してくれる。

「ありがとうっ」


 ミヤナの協力のお陰で人通りが多くなる前になんとか自分の部屋に入ることが出来た。




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