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当日・午後2
理香は、グリッドについても緊張は解けなかった。
自分でも緊張していることは意識できていたので、
「人」を掌に書いて飲んでみたがかわりはなかった。
父親に教わったのだが、まったく変わらないので、心の中で毒づいた。
理香は毒づいた自分に可笑しく感じて、
それで少し緊張が解けたらしく、
「あの二人もどうなのかしら」
と、思う余裕ができた。
小机は、バイクにまたがったまま腕を組みじっとしている。
何か考え事をしているのだろうか。
経験豊富だからレースに集中しているのだろう。
淵野辺は、バイクをスタンドに乗せて何かしている。
カウルを外して工具で何か整備していた。
「こんなはずじゃねぇ」
と、ぶつぶつ言っているのが聞こえた。
レース開始時間になるのが告げられた。
淵野辺は舌打ちして、スタンドからバイクを下ろしエンジンに火を入れた。
小机は腕組をほどきエンジンに同じく火を入れる。
理香は一つ大きく深呼吸しイグニッションをオンにした。
ウォームアップランをし、3台ともグリットにバイクを付けた。




