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当日・午前3
「多いな・・」
八王子がつぶやいた。
「まっ、エアクリ塞いで調整するか」
あっけらかんと言う。
「なんで!聞かなかったのはそっちだろう?」
「不平等ではレースにならん。レギュレーションってのがあるんだよ。だいだいそんな勝ち方してうれしいのか?正々堂々、相手と同程度のマシンに乗って勝つから自分が優れているのが証明されるのだろう?」
「ぐっ・・・」
淵野辺はちょっとひるんだが、
「そもそも、平等ではないだろう。俺のバイクが一番重い。ハンデとして許せよ!」
「いいでしょう」
小机が口を挟む。
「そこまでして勝ちたいなら、ハンデとしてさしあげますよ。大体、実績のないただの一般人とチャンプの僕と同等であるはずがないですし」
軽く咳ばらいをし、
「それに鴨井理香にはかなわないでしょうしね。そのままで良いですから、プラクティスいってきてくださいよ」
「ありがとうございます、チャンプ。ぶっちぎって恩に報いたいと思います。」