16/30
当日・午前
レース当日。
空は雲ひとつない五月晴れで、空気は澄んでおり、カラっとした風が気持ちがよかった。
理香はすでにウォームアップを済ませていた。
昨晩は良く眠れ、体は非常に調子がよい。
あまりにも気持ちよく起きたので、思わず朝ご飯をお代わりしてしまった。
ウォームアップもベストに迫るタイムを連発していた。
小机は理香のタイムを見て白い顔をしている。
ピットに入り、友人の町田さんにデータを解析してもらっていると、
パラン、パラッパラッパラッパラッ
と、甲高い金属音と大量の煙が一緒に入ってきた。
淵野辺は遅刻してきたのだ。
「甘い香り・・・」
と、理香が不思議に思っていると、
「カストロの配合か?」
と、八王子が淵野辺に尋ねた。
「わかる?さすがだね!」
淵野辺は大いに喜ぶ。
八王子はNSRを見て驚いていた。
「お、お前それ黄色ナンバーじゃないか!」
「ん?そうだけど?」
淵野辺が不思議そうな顔で八王子の問いに答えた。