昼休み2
八王子は1コーナーに歩きながら話始めた。
「俺は思うんだが、何を習得するにも一番大切なのは反復練習だ。そして、自分の練習内容を考える事。ブレーキポイント。アクセルのタイミング、開け方。コーナリングの体重移動。きっと何が悪いのか解らないだろう。しかし考えるんだ。何度も何度も考えるんだ。そのうち、もしかしたら・・・、と頭に思い浮かぶ。それを次に試す。そしてまた考えるんだ。それを永遠と繰り返す。これが出来るのが好きって事なんだと思うな。」
「・・・今回は1ヶ月しかないですね。」
「だな。しかし、実際に走り、考える。走った感覚と思考のズレが少なくなれば速くなると思うんだ。だから教師と言っても概念しか教えられない。鴨居だけではなく生徒には自分で要点を掴んでもらわないといけない。むやみやたらに走っても速くはならないんだよ。」
「あの二人はどうなんですか?」
「ふむ。結論から言えば、実力はとんとんだな。小机は10年乗っていて、あの通り結果もだしている。淵野辺は、まぁ異例だな。あいつん家の裏手は、山道になっていて虎口峠につながっている。舗装こそされていないのだが、あいつの親は走らせて遊んでいたらしい。オフのミニバイクで。そこなら車もバイクも走っていないからな。小学生の時は単純にバイクに乗るのが楽しかったらしいが、中学生になり親に内緒で虎口峠にでたらしい。年季でもとんとんって感じだな。」
「あたしの勝てる見込みあるんですか?」
二人は1コーナーを曲がり2コーナーに向けて坂を下り始めた。
「そうだな。さっき重量面の話をしたな。具体的に言うと、一番軽い箒は1kg弱の重さだ。次に軽いのは小机のバイク。排気量は5ccでアルミエンジンとフレームはチタン合金製で40kgぐらいだ。一番重い淵野辺は90kgぐらいある。」
「あいつが一番不利なんですね。」
「ま、そうなるな。しかし・・・」
そろそろ最終章。期待せずお楽しみに!