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ライディング!  作者: hungry
12/30

自動車部 6

輪が笑顔で話し出した。


「いやー、後ろから見ていてさぁ、ブレーキポイントはバラバラだし、体重移動は滅茶苦茶だし、なによりラインが安定していなし、いつか膨らむって思ったんだよね。そこがまさに虎の背で、クリップが早いって思ったんだよ。心の中でキタッって大喜び。おもっきりアウトにふって、クリップポイントをコーナーの出口の方にとると決めて、お前が想像通り外側に膨らんで、その横にピッタリ着けたときには、思わずにんまりしちゃったよ。久々に改心の追い抜きしたよ。ありがとうね。」

と、一気に言った。


理香は一瞬理解できなかった。

理解が出来たとき、さっきの小机よりも比べ物にならないほどに頭に血が上った。

拳を握り締め、歯を食いしばり、体が震えた。

涙がこぼれ落ちる。


右手が輪の頬を叩いていた。


そして、決めた。

「先生、レースやります。いえ、やらせて下さい。こんなヤツに抜かれたなんて屈辱です。」


輪は椅子から立ち上がり、

「痛ってーな。何すんだ、お前。」

「あんた、私はね、一生懸命走っていたんだよ。それを・・・。」

「一生懸命だかなんだか知らねーが、お前は良い練習相手だったって感謝しているんだよ。それなのに叩くか?気ぃ強い女だな。」

「何!!」


再びはたいてやろうと振りかぶったとき、八王子が手首を掴んだ。


「そこまでだ。輪、お前しゃべるな。」

「俺は何も悪いことを言っていない。それより、叩かれたのだから被害者だぞ。」

「そうだ、手を出した鴨居が悪い。しかし、煽ったのはお前だ。」


小机が口を挟みだした。

「自分が何を話していたのかわからないのですか?」

「感謝の気持ちだけど。」


小机があきれたように、つぶやく。

「いやですねー、野蛮な人間は。」


「お前も黙れ。」

と、小机にけん制し、

「鴨居、明日昼休みにサーキットに来い。俺が案内しよう。」

と、八王子が言い、その日は解散となった。


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