序章
私立山中魔法機械工業高校。
最寄り駅からバスで数十分、徒歩ではどのくらい時間がかかるかわからないくらい離れている高校だ。山の麓に立っており、周りは田んぼに畑と、誰もが認めるくらいど田舎にある。
「生徒は登校するのに大変だろう」
と、思うだろうが、バイクに車、箒に絨毯の登校が認められている。だけど、バイクや箒だと夏は暑いし冬は寒いので、それなりに大変だ。通うのには免許がほぼ必須状態で、1年生の頃は時間との戦いになる。この立地条件なので、興味がある限られた人だけしか受験してこない。校舎の裏に駐車場があり、教師と生徒が共同で使っている。
この高校は魔法と機械(燃焼エンジン)の勉強ができる数少ない高校だ。ここの地域では、この高校でしか勉強ができないので、偏差値はなかなか高い。敷地の西側にはミニサーキットがあり、部活動と学校の課題などでミニバイクや箒を走らせている。
鴨居理香は2年になり、免許をとり箒を買った。1年間バイトに励み、お年玉は全部使ってしまった。1年間本当にいろいろと大変だった。
買ったのは、子供頃親戚のおじさんに乗せてもらったFUJISAWA製「普通」魔法の箒だ。中古だけど。
あの時の感動が忘れられず、親に反対された「山工」を受験し、免許を取るのに両親を何ヶ月も説得した。最初に父親が理解してくれて、母親は父親と一緒に説得した。
そして2年生の1学期初日---