Cheese9~運命の別れ道~
玲に誘われて行ったコーヒーカフェには自称大学生の山田 拓さんという人が働いていた。そして、同じ美化委員の野高先輩もバイトで働いていることを知った。いろいろあった出来事のなかで1番忘れてはならないことが、Cheese同好会に正式入部してしまったことだった。
次の日の朝は何事もなかったかのように穏やかにやってきた。学校に登校して教室に入り、いつも通り音楽を聴いている鈴木くんの隣に座ってHRを迎えた。ただ1ついつもと違うのは、担任である高橋先生の異常なまでのテンションの高さだった。
高橋先生「みんな~! おはよう!!」
龍「朝からでけぇ声出すんじゃねぇよ。マジうぜぇ」
高橋先生「それではぁ~、朝のHRを始めるぞ~!」
華(す、鈴木くんの暴言を流した。今日の高橋先生、おかしい……)
先生に無視をされた鈴木くんはさらに大音量で音楽を聴きだし、イヤホンから音漏れしていた。とにかくこのHRさえ終われば今度こそいつもと変わらない始まりを迎えるはず――だった。
高橋先生「以上でHRを終了する! あ、美化委員はちょっと前に来てくれ~」
池本「は?」
華「なぜ?」
急に呼ばれてしぶしぶわたしと池本くんは席を立ち、黒板の前に立つ高橋先生の下へ向かった。話を聞くとどうやら美化委員会が行う朝の当番の説明があるらしく、これから昇降口付近の花壇に集合とのことだった。
高橋先生「美化委員は朝と放課後に花壇の水やり当番があるから忘れずにやってくれよ~?」
池本「朝ってことは、当番の日は早く学校に行かないといけないってことですか?」
高橋先生「まぁ、そうなるだろうな」
華「ひぇー!! 朝起きられるかなぁ」
池本「立川さん、頼むから遅刻だけはしないでください」
華「ど、努力する!」
担任兼美化委員の顧問である高橋先生、池本くんと共に昇降口に着くと、他のクラスの1年生と太陽の光を浴びてキラキラと光る金髪男が謎の箱を持って偉そうに待ち構えていた。そしてその隣にはしゃがみ込んで花壇に植えられた花にカメラを向けている野高先輩の姿があった。上履きから革靴に履き替えて外に出ると、他の2年生の先輩たちも集まっていた。
薄井「ああーー!? 花子発見♪ グット・モーニング☆」
池本(発音悪っ!?)
華(できることなら会いたくなかった)
薄井先輩の声に反応して、野高先輩は振り向き、目が合うと微笑んでくれた。
野高「あ、おはよう。立川さん」
華「お、おはようございます!」
薄井「なんで僕には挨拶しないんだ!? 花子ーーー!?」
池本(花子って誰!? 立川さんのこと?)
高橋先生「あれ? おい、薄井! 3年生の美化委員の姿がないがどうしたんだ?」
薄井「3年生が来るわけないだろう? うっはは!」
高橋先生「は、はは……一応呼びかけたんだけどなぁ」
池本(いいのか!? そんなんで本当にいいのかっ!?)
3年生が来ることを諦めたのか、高橋先生は当番について説明を始めた。
高橋先生「と、いうわけで当番はクラスごとでやってもらうからな~!」
薄井「何を勝手に決めてるんだ? 先生」
高橋先生「いや、校長が決めてることだからね?」
薄井「僕は委員長としてクラスごとにやることを反対する!!」
野高「勝手なこといってるのは薄井、お前だろっ!?」
薄井「いいツッコミだ。メダカくん! 成長したね!!」
野高「それ、褒めてないよな?」
薄井「と、いうわけでくじ引きで誰と当番をやるか決めようじゃないかっ♪」
華(勝手すぎるーーー!?)
高橋先生「クラスごとにやればいいことだろ!? なんでそんな面倒くさいことするんだ!?」
池本(高橋先生……そこで怒鳴るならこの場にいない3年生を怒鳴るべきだッ!!)
高橋先生の制止も虚しく、薄井先輩は地面に置いてあった箱を持ってその場にいる全員に聞こえるような声で叫んだ。
薄井「この箱には黒いカプセルが入っていて、中に12色の色がついた紙が入っている! 同じ色を引いた者同士がペアとなり、そして当番を一緒にやる、ということだ!」
野高「12色? まてよ? 学年ごとにクラスが6つあるから、3年生も入れたら18色になるんじゃ……」
華「あぁ!! そうですよね! 数が足りませんよ!」
池本「確かに」
薄井「君たち、馬鹿なことをいうね? 3年生は始めから数に入れていない! 常識だ!」
池本(この人、3年生が来ないこと予想してたーーー!?)
薄井「さぁ、みんな! 引きたまえ~いっ☆」
高橋先生「薄井~? いくら委員長とはいえ、勝手なことは許さないぞ~??」
薄井「ほらほら~! ちゃっちゃと引くのだ」
高橋先生(完全無視……?)
薄井「高橋先生、これは美化委員メンバーとの親睦を深めるために必要なことですよ。そして僕を止めることは完全に不可能なので諦めてくださ~い♪」
高橋先生「う、薄井は金髪なのにどうして先生方は何も言わないんだ? 大体、先生に対する態度が悪すぎる。誰か叱ればいいんだッ!!」
華(せ、先生が小声で愚痴ってるーー!?)
池本(つーか、あんたが叱ればいいんだーー!?)
薄井「こら、1年C組! よそ見をしていないで早く引くのだ!!」
池本「は、はい」
華(どうしよう。話したこともない先輩と一緒になったら……)
わたしは上部に丸い穴の開いた箱に手を入れて、最初に触れたカプセルを掴んで取り出した。
薄井「あ、引いた色はまだ見ないように! 全員が引いたあとで一斉にみるからな♪」
華(うわぁ~! なんだかドキドキするなぁ! う、薄井先輩と一緒だったらどうしよう)
全員がくじを引き終えたところで一斉にカプセルを開けて中に入っている紙の色をみた。
薄井「僕は赤だ!」
池本「俺も赤です」
薄井「なななっ、なんで花子じゃないんだぁぁぁーーー!?」
池本「人物指定!? 無理に決まってますよ! 奇跡でも起きないかぎり!!!」
薄井「じゃあ花子は誰と組んだのだッ!?」
華「青だ! えっと、青の人は……」
周りをキョロキョロと見回していると、後ろから声を掛けられた。
野高「立川さん」
華「え?」
野高「俺も青なんだ」
華「わ、わたしがっ、のっ、野高先輩と一緒に当番を!?」
野高「うん。よろしくね」
華「はいっ!! よろしくお願いしますっ!!」
深くお辞儀をして言うと、頭をぽんぽんと叩かれて大袈裟だと笑われてしまった。
華(これから野高先輩と一緒に当番するんだぁ……! あれ? なんだか嬉しいな)
薄井「メダカと花子が一緒とはどーゆーことかね!!??」
池本「誰に聞いてんですか? 誰に」
とりあえず薄井先輩と組まなくてよかったと、ホッと安心しました。
~運命の別れ道~ 完
誤字・脱字等ありましたらご連絡ください。
一言でも感想をいただけると嬉しいです。