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とろけるCheese  作者: KoKoRo
6/23

Cheese6~変人 翔~


美化委員会活動初日、今にもこの場から逃げ出したいわたしを余所に、金髪のチーズパン泥棒である薄井先輩進行の下、淡々と自己紹介は進んでいった。担任兼美化委員顧問の高橋先生は止めるどころかただ呆然と座りながら自己紹介の様子を眺めていた。



華(どうしよう。先生が止めてくれればいいのにっ! それにもうすぐわたしの番だー!?)



薄井「じゃあ次は1年C組〜!」



華(きたーーー!?)



ボールペンをまわしながら薄井先輩はこちらに向けてニヤッと笑ったので寒気を感じていると、隣にいた池本くんが先に席を立った。



池本「池本 淳です。好物は鶏の唐揚げです」



薄井「淳、か。じゃあ今日から君はジュンジュンだな♪」



池本「それだけはやめて下さい!!」



大人しそうな池本くんが机を叩いて叫んだので、わたしはびっくりしてしまった。



華(きゅ、急にどうしたんだろう、池本くん。昔そのあだ名で嫌な思い出でもあるのかな)



薄井「じゃあ、メガネ」



メガネ(見た目であだ名つけんなーー!?)



薄井「それじゃあ次の人〜♪」



渋々立ち上がると、みんなの視線を感じて、わたしは急に恥ずかしくなって下を向いた。



華「たっ、立川 華です。好きな食べ物は……チーズです!」



薄井「!」



野高「――え?」



なぜだか先輩の動きが止まり、しばらくまわしていたボールペンを手から落としていた。



華(あ、れ? わたし、何か変なこと言ったかな……)



薄井「ほーう。チーズ好きか。ダイエットに苦労するだろうね。ボンボリ娘くん」



華(ボンボリ娘って、酷いっっ!!)



薄井「じゃあ、次はD組の人〜!」



華(むっきー!! なんかあの先輩、ヤな感じだーー!!)



その後も自己紹介は続き、2年生の先輩達の番になった。



薄井「それじゃあ2年A組! 僕の相方であるメダカくん!! 自己紹介をするんだ☆」



――が、肝心の『メダカ』と呼ばれた先輩は自分のクラスの席にいなかった。



薄井「野高 優は何処へ消えた??」



2年生男子「もしかして後ろの席で高橋先生とくつろいでる人のことか?」



薄井「なにぃ!?」



わたしはその言葉に誘導されるかのように後ろの席のほうへと視線を向けた。すると、野高先輩が高橋先生に湯のみを差し出している光景がそこにあった。



野高「高橋先生、大変な委員会の担当になっちゃいましたね。あ、お茶でもどうぞ。先生」



高橋先生「気遣ってくれてありがとう。君は優しい生徒だなぁ」



薄井「コラコラッ! そこ! なにをコソコソ日光浴してるんだね!? 君達は日光猿軍団かっ!?」



野高「その例えの意味がわからないよ」



薄井「いいからさっさと自己紹介をしなさい! メダカくん」



メダカ「……2年A組、野高 優です。好きな食べ物は、納豆かな」



薄井「嘘をつけぇ〜いっ!! 嘘を!! お前がこの世で1番愛す食べ物は――」



野高「ばっ、バカ! よせ!! こんなところで言わなくてもいいだろ!?」



薄井「――ちっ、ケチ男」



野高「ケチとかいう問題じゃない気がするよ……薄井」



華(なんかあの薄井先輩って人、濃い。なんか全体的に濃い!)



2年生の自己紹介も終わり、第1回目の美化委員会が終了――するかと思ったのに、わたしはある先輩に出口でとおせんぼされてしまった。



薄井「ちょっとそこのボンボリ娘くん!」



華(ボンボリ娘って、まさかわたしのこと!?)



野高「なに呼び止めてるんだよ、薄井」



薄井「えーっと、名前なんて言ったかな?」



華「立川 華です。あ、あの、わたしに何か……」



薄井「ふむ。華か」



華(よっ、呼び捨て!?)



薄井「華……花……」



華(あれ? なんか発音が変わったような?)



薄井「――花子」



華「へ?」



薄井「よぉ〜し! 君は今日から花子だ♪」



華「なぜ花子になるんですか!?」



野高「あれ? 花子って確か前に薄井が飼ってた犬の名前だったよね」



薄井「おお! よく覚えているな! 今や天国の住民だが、上で幸せに暮らしていることだろう」



華(天国? じゃあ花子って、死んでる……?)



薄井「よし、花子。早速だが用件だけズバリ言うわよ☆」



野高「やめろ……気持ち悪い……」



華(嫌な予感がする)



薄井「今日から花子をCheese同好会に任命する!!」



野高「チーズ?」



華「同好会?」



薄井「なに2人してキョトンとしてるんだ? あ、活動は明日からだから、放課後になったら写真部室集合だ!」


 

野高「え? ちょっと待て! 写真部室は俺が活動に使ってる場所じゃないかっ!? 何を勝手に……」



薄井「写真部ぅ〜? 部員がお前ただ1人だというのに部活気取りもいいところだぞっ!?」



野高「なんで逆ギレ?」



華「あ、あの、あの、わ、わたしはこれで失礼します」



こっそり家庭科室を出ようとしたら、薄井先輩のとうせんぼする腕に捕まってしまった。



薄井「待て! 花子おぉぉぉぉぉ!!」



華「ハイッ!? なんですか!? 薄井先輩」



薄井「薄井先輩だなんて他人行儀だな。かけるんるん☆と呼んでくれても構わないよ」



華(かびる○るんみたいーーー!?)



薄井「どうだ!? 花子! 僕のことをそう呼ぶかい!?」



華「遠慮します……」



野高「立川さん。ごめんね」



華「え?」



野高「薄井のせいで帰れないよね。もうこんな奴ほっといて帰っても大丈夫だよ?」



華「――じゃあ、失礼します!!」



出口を塞いでいた薄井先輩の腕が野高先輩によって引き剥がされたので、わたしは廊下に飛び出して家庭科室から脱出した。



薄井「花子っっ!!」



華(ヒィィーー!?)



背後の声に恐る恐る振り返ると、薄井先輩とばっちり目が合った。



薄井「明日の放課後、写真部室で待ってるからなぁぁぁぁぁ!!」



華(薄井先輩じゃなくて……濃井先輩?)



わたしは猛ダッシュで家庭科室から離れました。





〜変人 翔〜 完


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