6話 逃げるしかない
「な、なんで・・・。僕の弾丸はキッチリ当たってたのに・・・」
僕のゴム弾はボスが特注で作ってくれたやつ。あたりさえすれば最低三時間は意識を失ってるはずなのに・・・。
「くっそ。防弾チョッキでも着てやがったな」
「何を言ってる。着てるように見えるのか?」
神木父が言うとおりで僕には着ているように見えない。だからこそ、いつもどおり狙ったんだから。
「理解が出来ないものを理解するために自分の常識の範囲でものを言う。この世にはお前ら人間が知らない存在があるのにな」
「ほ、ホントに悪魔だとでも言うのかよ!?」
蘭樹の叫び声が部屋中に響く。信じられないけど・・・コレは夢じゃない!
「皆、逃げよう!危険すぎる!」
「逃がすと思っているのか!」
その言葉を合図にするかのように後ろの二人が僕らを囲む。
「やっば。囲まれた・・・」
「ど、ど、どうしよー!?」
莉那の少しおびえる声と美奈の泣きそうな声。
「こんなの信じられるかよ・・・」
蘭樹の諦めるような声。
・・・何とかしなきゃ!
「こんなところで諦められるかぁ!!」
僕は二丁の拳銃を一発ずつぶっ放す。
もちろんこの至近距離で撃つんだから外れない。外れてないのに―――――
「なんで、倒れないんだよ・・・」
倒れないばかりかどんどん近づいてくる。
一歩また一歩と近づく。こうなった―――――逃げるしかない!
「蘭樹!そのメリケンサックはお飾りかよ!」
「・・・!うるせぇバカ」
蘭樹を立ち上がらせ、
「美奈!その姿はコスプレ?」
「ち、違うもん!」
美奈の元気を取り戻し、
「莉那!やっぱり僕のほうが強いんじゃない?」
「ば、バーカ!そんなわけないじゃない!」
莉那を強気にさせる。
やっと動ける!
「みんな、今回は撤退しよう!立て直すんだ!」
「「「ラジャー!!!」」」
僕たちは目の前の奴らに目もくれず出口に向かって走り出す。
「・・・っ!逃がすな!」
神木父の合図で二人が追ってくる。
「ごめんなさい!アイスヘル!」
美奈は魔法の杖で相手に作り出した何千本もの氷を突き刺す。
・・・美奈の武器って合ってないよな。
「「・・・」」
二人は無表情だけど流石に身体に無数に刺さった氷が抜けずもがいている。
身体に氷が刺さっててなんで動けるんだよ・・・。
でも、とにかく―――――
「「「「出れたぁ!」」」」
さっき、倒したほかの奴はドコにいるか分からなかったけど、気にしていられない。
いないうちに逃げなきゃ。
僕たちが走り出そうとしたとき、
キーーーーッ
「お前ら、乗りな!!」
「「「「ボス!」」」」
ボスが自慢の愛車を店の前で止める。助かった・・・!
僕たちは慌ててボスの愛車に飛び乗る。
「みんな乗ったな!?しっかり掴まってなよ!」
ボスがアクセルを思いっきり踏み込み、車は唸るような音を出しながら走り出す。
この人いつも危なっかしいんだよなぁ運転。まぁ、そのおかげで今回は助かったけど。
僕たちの命がけの仕事は初の失敗に終わった。
でも、この仕事はまだ終わりではなかった。-――――いや、始まりに過ぎなかったんだ。
ベルブ店の中
「ちっ・・・。逃がしたか。まぁ、いい。時期に悪魔も目覚める」
「やはり、神木武は使い物にならなかったな」
「―――――さま!?なぜここに!?」
「悪魔の力を狙う人間を見に来たのだ」
「そ、そうだったのですか」
「それより、そいつは使い物になるのか?」
「はい。こいつに神の力を授けましたので今度は比べ物にならないでしょう」
「選ばれし七人は七人全員が【堕神】に慣れる力を持っている。扱いには気をつけることだな」
「はっ!」
「その、借り物の身体も壊すなよ。それが壊れると厄介だ。この意味が分かるな?」
「承知しております」
返事を聞くと神木父を残してひとりの男は去っていく。
いや、消えていく。
ある世界
「この世界を使うときが来るとはな。しかし、あそこまで人間離れした・・・堕神よりの人間がいるのか。アイツだけはなんとしてでも手に入れなくてはな」
この世のものとは思えない高さのビルが並ぶ世界を一人の男が歩いていく。
僕は小説を書く技術が足りないので、見てくれたかたは感想やアドバイスをくれるとうれしいです!