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知らないうちに悪女に仕立て上げられていたうえ婚約破棄されました。が、それでも幸せになれました。  作者: 四季


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2/2

後編

 その後ディーマッツはリリを無理矢理自分の家へ連れ帰る。


 だがリリは抵抗。

 もう嫌だと主張。


 それに激昂したディーマッツはリリを崖に連れてゆき「本気で関係を終わりにしたいと言うのならここから飛び下りろ。そのくらいできるよな? 本気なら」と脅した。


 だが、その場でもみ合いになり、結果ディーマッツが足を滑らせて転落することとなる――彼はあっさりと命を落とした。


 その後リリは実家へ戻ろうと走ったが、途中で賊に捕らえられてしまい、詳しいことは分からないけれどもその後はかなり悲惨な状態で過ごす日々となってしまっていたそうだ。


 ディーマッツも、リリも、共に自滅した。



 ◆



 友人の家に住ませてもらっていた私だが、後に資産家男性との出会いがあり、彼のもとへ引っ越すことになった。

 家を出ていく最後の日まで色々親切にしてくれた友人とその周りの人たちには感謝している。心が折れそうだった時に話を聞いてくれた友人のお母さんには、特に、深い感謝の心を抱いている。


「アリーナさん、サラダはどういったものが好きとかあるかな?」

「いえ、特には……」

「じゃあお任せでいいかな」

「はい」


 資産家男性ルージョはどんな時も配慮を忘れない人だ。


「今夜は肉料理だけど、嫌いとかはない?」

「はい、食べられます」

「それは良かった! うちのシェフの得意料理だから、楽しみにしていてね」

「ありがとうございます……! とても楽しみです」


 私を悪女扱いし傷つけた者たちはもう誰もこの世にいない。

 だから今は心が軽い。

 悪質な行為を繰り返す女という偽りの看板を背負わなくていい、綺麗なままの私でいていい、今はそれがとてつもなく嬉しい。


「夕食まではまだ時間があるから、ちょっと、何かして暇を潰そうか」

「ルージョさんのお仕事は……」

「もう片付けてきたよ! さっき終わらせた。だから今夜はゆっくり過ごせる」

「そうなのですね」


 温かな心で接してくれる人と向き合えるという幸せを強く感じる日々だ。


「何をしようか?」


 彼の柔らかな笑みを目にする時、心に熱がもたらされる。


「お茶を飲むか、ちょっとしたゲームでもするか、あるいは……アリーナさんの好きなものでいいよ、自由に選んで」


 彼とならどこへでも行ける。今はそんな気がする。


「そうですね……では、好きなものについて話をする、とかはどうでしょうか」

「いいね! 自分では思いつけなかったけど。でも! それはすごく良い案だと思うよ!」


 どんな小さなことでも話したい。

 お互いをもっと知っていきたいから。


 だからこそ、当然、相手の話にも興味が湧く。


「良かったです」

「じゃあそうしようか」

「はい」


 彼と歩む道の先にならきっと多くの幸せがあるはず。


 もう迷わない。

 もう恐れない。


 彼との道を信じていたい。



 ◆



 婚約を機に同じ家に住むことになった私たちは、そこでより一層絆を深め、その先で結婚式の日を迎えて正式に夫婦となった。


 時は流れたけれど、今も、私と彼の関係は良好そのもの。

 一緒に住み始めた頃と同じように。

 穏やかな関わりの中で暮らすことができている。

 いくつもの要素が移り変わっていったことは事実だけれど、それでも、根底にあるものだけは決して揺らぐことがなかった。


「アリーナ、今夜は肉料理なんだけど」

「そうなの!? やった! 嬉しい!」

「メニューは前に言っていたアリーナが大好きなアレだよ」

「教えてくれてありがとう!」


 こうして今も純粋に笑顔で暮らせているのはルージョが素敵な人だから。


「アリーナが肉料理好きで良かったよ」

「……と、いうと?」

「肉料理好き同士気が合う!」

「ああ、そういうことね」


 ルージョには感謝している。


 私をこんな幸せな場所へ連れてきてくれてありがとう。

 いつだってそう伝えたい。


「アリーナはそうは思わない?」

「思うわよ、もちろん。食の好みが合うって素敵なことよね」

「うんうん」

「同じ家で暮らしていくんだもの、好きなものに一つでも多く共通点がある方が嬉しいわ。……まぁ、好みが違うっていうのも新鮮な楽しみを生んでくれるから、悪いこととは思わないけれど」

「同じ意見! 本当にそうだと思うよ。同じところも、違うところも、どっちも楽しんでいけたらいいな」



◆終わり◆

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