海洋浮上都市アトランティス
「ぴえええええ」
「英瑠璃ちゃん。ちょっとは落ち着きなさいよ」
「だってー」
しばらくして、テロリスト集団はT.W.A.F2030に参加している人々を、会場のステージ寄りに集めていった。
特殊な実弾を込めた武器を持つテロリスト集団の男たちは、どこか普通とは違っていた。
何故かしら?
その訓練されたような動きだけではなく、歩いている最中でも背からオーラのようなものが微かに浮き出るのだ。
STARZM・4(スターゼモフォー)のメンバーは、怯えている成川 英瑠璃と、どんな状況でも冷静沈着な大木 利弧利戸と、あともう一人はここにはいない。
ーーーー
会場11番倉庫内。
「ここら辺なら大丈夫だよ。きっと」
「ええ……ありがと」
STARZM・4(スターゼモフォー)のメンバーの一人。森島 恵美は、ファンの集団に守られていた。
ちょうど、テロリスト集団が会場へ乱入してきた際。ファンの一人が瞬間移動能力者だったので、今の倉庫内へと避難できたのだ。
ここは、ダンボール箱が幾つもの棚に積まれているだけの殺風景な場所。
「これからどうする?」
「いや、俺に聞かれても……」
「森島 恵美ちゃんを守ってればいいんだよな?」
広々とした倉庫内で、20名の推し活と恵美が隅っこで、震えながら縮こまっていた。
「ああー、違うぞー。成川 英瑠璃ちゃんと、大木 利弧利戸ちゃんも守ってだなあ」
「でも、敵は何? 何が目的なんだろう?」
「そりゃ、大金じゃないのか?」
恵美が痺れを切らして、立ち上がる。
「きっとー、テロリスト集団なんだから、何か核兵器とか関係してるんでしょ」
「恵美ちゃん。賢い!!」
「最高!」
「可愛い!」
会場11番倉庫内は、賑やかになっていた。
―――
「Yeah? I can hear people's voices coming from this warehouse.」
(うん? この倉庫から人の話し声? はしゃぎ声が聞こえるな)