ワイルドカード その2
痺れを切らしたのは、意外にもテロリスト集団のリーダーの方だった。
「That's fine. I'll just release you. But idol groups are no good.」
(いいだろう。お前だけは解放してやる。だが、アイドルグループはダメだ)
「Well, that doesn't make any sense! I'll stay here too!」
(そ、それでは意味がありません! 私もここに残ります!)
???
俺は二人の緊迫した会話が英語なので、意味がさっぱりわからず。
キョトンとしてしまっていた。
「なあ、司会者さん。こうすればいいんじゃないのか? 脱毛税の請求書はここにはないけど、英語がわからない国のアイドルグループだけを解放してやるのは? きっと、言葉がわからないとだいぶ不安だと思うんだ」
派手な服装の司会者は、俺の方を一瞥してから、テロリスト集団のリーダーに向かってしっかりと頷いた。
司会者がテロリスト集団のリーダーと話している間に、俺は異能の力を回復させていた。
なんたって、あと一分しかなかったからな。
一分だけで、このステージ上のテロリスト集団を倒すのは、さすがに無理だった。
よーし、回復しているぞ。
異能の力を三分は使えるようになった。
と、その時どこかからスマホの着信音が鳴った。
それもよく聞くメロディだ。
「What? Whose is it?」
(なんだ? 誰のだ?)
テロリスト集団のリーダーがサブマシンガンを構えた。
司会者は、一瞬にして青ざめた。
ホントに、一体誰のスマホが鳴ってるんだ??
「あれ? れれれれー?? 俺のだ!!」
俺のズボンの後ろポケットに、入れてあるスマホがひっきりなしに鳴っていた。着信画面を恐る恐る見てみると……パパ?
「うっぎゃーーー!! こんな時に?! パパーーーン!!」