寝ている その5
「斬!!」
いきなり、空間に亀裂が入った。天井から床まで真っ二つになって、覆面マスクの男たちの姿が朧気になり、そして、崩れ始めた。
「ふん! 大丈夫か?」
見ると、どうみても40代のシックな男性が、大きな光る刀を輝く鞘に納めながら、突っ立っていた。
「あ、ありがとーございますーー! あ、あの! これって一体なんスか? 覆面マスクの男たちが、急に朧気になって、崩れ去ったし、天井と床がスライスされてしまったぞ?!」
「ふん! 今、斬ったのはテロリスト集団の空間変異能力者の能力自体だ」
「テロリスト集団? 空間変異能力者? それって、なんなんスか?」
「じきにわかる。さあ、小僧。行くぞ。利弧利戸ちゃんを守りに!!」
「は?」
40代のシックなおじさんは、よく見ると、利弧利戸ちゃん命と背中に書かれたTシャツを着ていた……。
俺はしばらく、普通の会場へと変わった通路をおじさんと走った。
「そういえば、まだ名乗ってないな小僧。俺の名は田中 正士居だ」
「ただしい……か。うん。おじさん良い名前なんですね。俺の名前は、海野 匡助」
「田中と読んでくれ。海野くん」
「匡助と読んでくれな……妹も海野だから……」
会場の中で不穏な煙が上がっているところへと、田中さんは俺を誘導する。そこは一番、被害が多そうな場所だった。
「ここから先は巨大ステージだ。気を付けろ。ステージ上には、それぞれの国からのアイドルグループとテロリスト集団のボスがいるんだ」
「OK!」