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それぞれの道

 ──勝てる気がしない。


 大量の汗をかきながら、アルフは武器を構える。


 模擬戦と同じ装備のマオが目の前にいた。鼻歌をしながら杖をくるくる回している。


 何度負けただろう。十回から先は数えてない。


 本物のマオからもらったレベリングメットとやらを使って戦闘経験を積んでいるのだが、奇怪な服装のマオにボコボコにされ、分身するマオにボコボコにされ、それでも諦めずに活路を見出してここまで来たはいいものの、活路が全く見えなくなってしまった。


 カン、とマオが杖を地面に突き立てる。そうしてアルフの前に武器が並べられた。


「行き詰まりを感じているかな?」


 こちらの状況を察したようにマオが話を始める。会話はできないのだが、負けた回数や動きに応じてアドバイスがされた。


「一回、目覚めて今回の経験が肉体に反映されるまで中断することをおすすめするよ。現状の強さでは限界があるからね」


 ここで戦った分は二、三日で現実の体に現れた。軽い筋肉痛と共に。

 見えなかった動きが見えるようになっていたり、見えても反応できなかった動きに反応できるようになったりと、明らかに成長できている。


「武器を変えてみるのもアリだよ? いろいろ試せるうちに試しておいたほうがいい」


 これまでにいろいろ試してみた。一番可能性を感じたのが剣と盾のスタイルだった。もっとも、この世界の武器は絶対に壊れないので現実で戦う際は武器をしっかり選ばなければいけないが。


「さ、選ぶといい。終了か続行か」


 ため息を吐く。今の自分ではここが限界だ。


「終了だ」


 告げるとマオは微笑む。


「今日もおつかれさま! ゆっくり休んで!」


 視界が暗転し、現実に戻る。

 夜の、自室だ。

 ベッドから体を起こし、レベリングメットを外す。


 マオが魔王ディアプラーダと戦ったあの日。アルフもディアプラーダと戦った。ラスティ姫を守るために。


 結果は一撃で気絶させられた。飛ぶハエを落とすような手軽さで敗北したのだ。


 今回はマオがラスティ姫を助け、そして結界を張ったからこそ生き残れた。


 悔しかった。


 ラスティ姫を守るのは自分の役目だというのに、全うできなかったことが。今まで鍛錬して得てきた力が塵ほどにもなかったという事実が。


 ──強くなりたい。


 アルフの胸中には、強い想いが静かに燃え盛っていた。







 小さくなったアーティンベルを眺める。


 心地よい風がマントをなびかせる。


 数日間の準備を終えて、挨拶もそこそこに、ボクは旅立ったところだった。リジーは最後までボクに良くしてくれた。ボクが男だったら毎日味噌汁をつくってほしかったくらい……いやまぁ惚れたりしたわけじゃないんだけど、そのくらい優しかった。


 ダイナライトの在り処はだいたいわかる。


 とりあえず大迷路というダンジョンを越えなければならないのでそれを攻略するのがひとまずの目的かな。素材を集めて装備をあれこれ試しながら目指していこう。


「打倒魔王! いざゆかん!」


 杖を振り上げて歩き始める。


 全ては元の世界に帰るため。


 チョコミントフレーバーとたくさんのゲームがボクを待っているのだ!

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