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霊魔

 それから王様のご好意を頂きましていろんな製作所を回った。剣や鎧、布服、皮製品……一日ずつお邪魔させて頂いて制作の過程を見させてもらった。


 結論から言うと元の世界とあまり変わらなかった。鉄製のものは鋳造(ちゅうぞう)されてできるし、布は編み込まれるし、皮はなめしたりして加工されていく。


 ただ、ひとつ。ひとつだけ全てにおいて()()して元の世界と違うものがあった。


 それが「霊魔付与士」という存在だ。


 感情や環境に反応するエネルギーである「霊魔」というのが、道具に特殊な力を付与するというのがわかった。デザイアメイロ内における特殊効果を付与していたのも、魔法が発動する仕組みも、この霊魔というのが関わっていた、というのがよくわかった。


 霊魔というのはどこにでもある。そして何にでも()()する。


 例えば剣を作ったとする。


 元々剣としての機能は備えているのはもちろんだけど、それを使用して素振り千回した場合と、木を千回切断した場合では「剣の性質」が変わる。前者では素振りで行っていた動きをするときに体が軽くなったりする。後者だと木を切断しやすくなる。


 霊魔が「覚えてくれる」そうなのだ。


 デザイアメイロ内で固定ダメージだとかクリティカル率だとか効果を発揮していたのはそれだけの効果を獲得するほど使われた武器というわけだ。


 中には元の素材では考えられない力を得るものもあるらしく、伝説の武器というものは、英雄の伝承をそのまま具現化させたような効果を持つ……と言われているらしい。


 霊魔の強さが問われるのは定着した量とその後向上していく質、なのだという。霊魔がどれだけ定着し、質を向上させるかが、その装備の強さに関わってくる。無論、素材も大事であるし、素材の良さが霊魔の質の良さに関係したりもする。


 壊れやすいものより、壊れにくいもののほうがそれだけ霊魔が同じ場所に留まり続けられやすいため、質も上げやすい。ものが壊れれば霊魔は散らばり、質が落ちていくからというのもある。


 霊魔付与士はよりよい質の霊魔を装備などに取り入れるための職業なのだ。戦闘できないし、デザイアメイロでは全く登場しないわけだ。ゲーム内じゃ完成したものしか出てこないからね。


 装備制限は特になかったので部位ごとの装備枠はゲームシステム上の都合らしかった。


 そういうことならアクセサリーじゃらじゃらにしても大丈夫だ。


「うーん」


 場内の部屋で用意してもらった紙とにらめっこしながらペンを走らせる。シミ抜き魔術で書き直せはするものの、紙は摩耗するので、あまりやり直しはできない。


 装備のアイデアやビジュアルを描き込みつつ、悩む。


 どういう装備が適切か。デザイアメイロの知識で装備を作ってもいいが、ゲームみたいな絶対的な効果や耐久性は保証されていないだろう。魔王を叩き潰せる丈夫な荒くれこん棒なんてあるわけない。


 魔術を仕込んだ装備に霊魔がどれだけ定着するかも未知数だ。


 そもそもボクの想像力というのは貧弱なのだ。魔王時代もとりあえず強そうな魔術を仕込みまくって戦車で突撃! みたいな感じだったし。


 大型の装備はそれだけ費用がかかる。作るにしてもとりあえず実験してからにしなければ。


 異世界の住人だし、異世界の技術仕込むから霊魔が反応しないという可能性も考えなきゃいけないし、ボクが使う以上「魔術的にも完成されたもの」をつくらなければならない。


 ボクのイメージを具現化した装備。


 これから戦う敵を考えると複数装備がほしい。デザイアメイロでも、単純な強さだけではなく、相性のいい効果の装備を固めて戦う必要があった。


 万能は非常に難しい。


「ゲームみたいに、そのときそのときで装備変えられたらなぁ」


 変形する武器とか……? いや耐久面で不安が残っちゃうな。


「ひとまず基本的な装備を作るか。ボクの普段着」


 あまり戦闘を意識しない、快適さを求めた普段着をまず作ろう。


 あとは……収納魔術を仕込んだ、アイテムボックスかな。異世界っていったらアイテムボックスでしょ。

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