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3/5

30回目の婚約破棄

「いつか、魔法で空を飛んで冒険して人を助ける素敵な魔法使いになるの!」

それが私の夢だった

そういえば・・・その時男のがいたような・・・


翌日の朝

その日はやってきた

言われるがまま貴族の男性とお見合いし

その晩には個室でその貴族の男性と二人きりになる


アルコールランプの明かりが灯る、夜の寝室に私と男の人がいた

「まってください、いきなり・・・」

男の人は私を無理やりベットに押し倒した

いやらしく私の体をまさぐり始めた

きっとこれから、私はこの人の妻となる行為をされるのだろう

でもそんなことは今は心配していない

むしろ、そうなってくれた方が私の家としても都合がいいから

それよりも私が懸念していること

それは私のある秘密がバレてしまうことで

そのことを知られたら、絶対に婚約破棄されてしまうからだ

ああ・・・、そうだそれは今もすぐそこにやってきた

極度の人見知りで上がりの私の体は、汗がダクダク滝のように流れ

蒸気が出るほど呼吸は荒く、顔どころか全身が赤く火照っている

まずい・・・限界だ、緊張で膀胱が悲鳴をあげてる

男の人の手が私のスカートをめくる

スカートが捲られた先にある、私の秘密

それがバレてしまった

「これは・・・・・・・・バカな!」

「婚約破棄だ!おむつを履いてる貴族令嬢なんて聞いたことがない!」

ああ、やっぱり今回も駄目だった

私は貴族令嬢なのにおむつを履いている


私はこの日30回目の婚約破棄をされた

そして緊張が限界にきた私はおむつに尿を出した


乱れた着衣などそのままに

逃げ出すように男の屋敷から逃げ出す私

顔を真っ赤にして悔しくて泣きそうな顔が商店のショーガラスに映る

泣きそうじゃなくて、もう泣いてきた

服の袖で涙を拭う

ああ、どうして自分はこんなにも駄目な人間なのだろう

いっそこのまま雨に溶けて地面の水たまりにでもなった方がマシだ

良いことなんて何もない人生だった

このままあの家を出てどこぞで野垂れ死のう

そう考えたてフラフラと歩いていた時

橋の上

誰かとぶつかり転ぶ

差し出された傘

雨が降りしきる町で出会った


シンデレラを救ってくれたのは

ちょっぴり変態な王子様だった

金髪で軍隊の制服を身にまとってる男性

急いでいたのか寒暖差で白い呼気を荒く吐く王子様

王子様は私のスカートめくると言う

「やっと見つけた・・・」

「俺の運命の人」

その王子様はガラスの靴を履ける人を探していたのではなく

おむつを履いた女の子を探していた

こんなシンデレラストーリーがあるのだろか?

「俺と結婚してくれ」


「???????????」

きっと私の頭には今大量の疑問符が浮かんでいるだろう


この人はいったい何を?いきなり結婚とか意味が分からないんですが

「え?い、いきなり何を・・・・」

困惑する私を気にせず、軍隊服の金髪の男の人は

私の手を引っ張っていき

「君がディッパー家の三女なのは調べがついてる、いくぞ」

「いえええ、いくってどこへ」

先ほど無我夢中で出て行った、自分が住む家の屋敷の方へと歩かされていった

「君はあんな家とはおさらばするんだ」


自宅の屋敷にはすぐついた

金髪の男は他人の家に断りもなく勝手に上がり込んで

その上、両親や兄たちが夕食をとっている部屋へ遠慮なく扉を開ける

私としては、この扉は開けたくない

緊張で発汗して足取りの一歩一歩が重く感じる

30回目の婚約破棄で、今度こそ家から追い出されるかもしれないのに

どんな顔をして会えと言うのだろう

「あら戻ってきたんですの」

「聞けばお前30回目の婚約破棄されたってな、まぁ心配しなくていい」

扉を開けるや否や

私の姿を見た両親や兄は口々に罵倒してきた

「安心しろ一生俺らの奴隷として飼ってやるから」

兄と三人姉達の冷たくて見下した視線が刺さる

今すぐここからいなくなりたい帰りたい

死んだ方がマシだ

そう考えていた時だった

彼の一言が変えた

「残念ながらそれは今日までだ」

私の隣の金髪の男の人に、家族が初めて認識された

突然入ってきた見知らぬ男に対し、怪訝そうに口々に言い吐く兄姉たち

「ああ?なんだてめぇ!どこのどいつだ」

「ていうか誰よその男」

「やだちょっとどころじゃないイケメン」


そう彼の一言が変えたんだ

この状況を、私の世界を

「この娘は俺が貰っていく、婚約を宣言する」

救ってくれた


その言葉を言われた瞬間、私の心臓はドキッっと跳ねた


しかもだ

「この俺ギリアス共和国の国王の第三子であるユーキス・ロイヤル・フランセである俺がこの娘と婚約する」

「なんですってっ!?」

「ま、まさか1000年続く王室の第三王子だと・・・」

この場にいる全員が驚いた

金髪の男の彼は、この共和国の国王の息子だった

この共和国は今は民主的な議会政治制だけど昔は立憲君主制の王政で

彼の父であるヒューイ16世国王は1000年以上続く王室の人間だった

現在は国の象徴的な形だけの王様だが、魔法産業革命の時代でも国内国外問わずその影響力は図りしれない

「王家の財宝や金品いくらでもくれてやる、その代わり一切近づくな」

ユーキス王子は両親を人睨みすると、私の手を引いて部屋をで出とする

「そういうわけだ、じゃあな」

勝手に私を連れて行こうとする彼の袖を引っ張って引き留める

「え?えええ?ちょっとまって・・・・まだ婚約するとか同意してない!」

私の意思は完全に無視された行動に憤る


そんな私の姿を見た彼は

「なんだ嫌なのか?ではここに残るか?」

「・・・・・・・っ」

そう言われた瞬間、心に戸惑いが生じた

「本当はこんな家抜け出したいと思ってたんじゃないのか?」

「それはそうですが・・・何故初対面である貴方がそこまで・・・・」

「それは後で説明してやる」

そうだ・・・私だってこんな家からいなくなりたい

確かにそう思ってる

「でもそれを他人である貴方に私をどうこうする権利はない・・・」

「説明もしてくれない人についていくほど私バカじゃありません」

そうだ、説明も無しに結婚とか勝手に連れていく人なんてどう考えても危ない人に決まってる

きっと私をなんかしら利用してなんかしらH的な変なことしたあげく捨てる気なんだ、最悪の想定はシリアルキラーみたいな殺人鬼で無残に殺されるかもしれない

「意外と強いな・・・・・・・・そうだな自分で決めると言い」

「今俺と家を出て俺についていくか、ここで一生奴隷として飼い殺しになるかだ」

「・・・・・あ」

「いきなり言われても・・・・いやでも」

きっと今の私は困惑している

自分で決めろと言われ、それはそれで困る

こんな家いたくなけど・・・お金のこと生活のこといきなり出ていってどうにかなるものでもないはずだ

ここにいれば、奴隷だけど一生生活に困ることはないだろう

でもそれでいいの?

「残念だ」

ほんの少しの時間だった

迷ってる時間

その時間で彼は残念そうな顔して顔を背け私を置いて出ていこうとする

その瞬間

「っ!」

私は彼の袖を掴んでいた

掴んで感情を爆発させて言葉を紡いでいた

「ついてきます!・・・・どうせいたって良いことなんてない!」

「良い機会ですね、確かにこれは・・・貴方が私を嵌めようとしてたとしても私はそれでもいい!」

「どうせ誰にも愛されない、私は一人で生きていき野垂れ死ぬんですから!」

「そこが地獄でもついてきます!」

そう私は、ぜぇぜぇ息を切らしながら言葉を思いのま吐き捨てていた

「そういう分けで、お父様お母様失礼しました」

「・・・へぇ、良い覚悟だ」

そんな私を見て、彼は微笑んだ


二人がいなくなった部屋では

が置いていった金貨を掴んで満足そうな男がいた

「ふん、金貨が貰えるならあんな魔法しか能のない30回もしくじるような出来の悪い子いくらでもくれてやろう」

「でもあなた、王家の親族になれるチャンスだったのよ」

「伯爵貴族なんかより良い男を・・・きぃー!」

「勝手に俺のおもちゃを・・・」

家の反応は三者三葉・・・

きっと新たな遺恨を残すだろう

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