プロローグ
アルコールランプの明かりが灯る、夜の寝室に私と男の人がいた
「まってください、いきなり・・・」
男の人は私を無理やりベットに押し倒した
いやらしく私の体をまさぐり始めた
きっとこれから、私はこの人の妻となる行為をされるのだろう
でもそんなことは今は心配していない
むしろ、そうなってくれた方が私の家としても都合がいいから
それよりも私が懸念していること
それは私のある秘密がバレてしまうことで
そのことを知られたら、絶対に婚約破棄されてしまうからだ
ああ・・・、そうだそれは今もすぐそこにやってきた
極度の人見知りで上がりの私の体は、汗がダクダク滝のように流れ
蒸気が出るほど呼吸は荒く、顔どころか全身が赤く火照っている
まずい・・・限界だ、緊張で膀胱が悲鳴をあげてる
男の人の手が私のスカートをめくる
スカートが捲られた先にある、私の秘密
それがバレてしまった
「これは・・・・・・・・バカな!」
「婚約破棄だ!おむつを履いてる貴族令嬢なんて聞いたことがない!」
ああ、やっぱり今回も駄目だった
私は貴族令嬢なのにおむつを履いている
私はこの日30回目の婚約破棄をされた
そして緊張が限界にきた私はおむつに出した
乱れた着衣などそのままに
逃げ出すように男の屋敷から逃げ出す私
顔を真っ赤にして悔しくて泣きそうな顔が商店のショーガラスに映る
泣きそうじゃなくて、もう泣いてきた
服の袖で涙を拭う
ああ、どうして自分はこんなにも駄目な人間なのだろう
いっそこのまま雨に溶けて地面の水たまりにでもなった方がマシだ
良いことなんて何もない人生だった
御伽草子のシンデレラは良い魔女に魔法にかけられて舞踏会
現実は違う、いたのは悪い魔法使いで
履かされたのはガラスの靴ではなく、惨めなおむつ
このままあの家を出てどこぞで野垂れ死のう
そう考えたてフラフラと歩いていた時
橋の上
誰かとぶつかり転ぶ
差し出された傘
雨が降りしきる町で出会った
シンデレラを救ってくれたのは
ちょっぴり変態な王子様で勇者様だった
急いでいたのか寒暖差で白い呼気を荒く吐く王子様
何故か不思議と見覚えがあった、会ったことないはずなのに
王子様は私のスカートめくると言う
「やっと見つけた・・・」
「俺の運命の人」
その王子様はガラスの靴を履ける人を探していたのではなく
おむつを履いた女の子を探していた
こんなシンデレラストーリーがあるのだろか?
「俺と結婚してくれ」
俺の名前はユーキス・ロイヤル・フランセ
その日俺は、彼女に一目見た時から心惹かれた
これまでは地位や財産目当ての卑しい女達に興味がなかった
だが、彼女はこれまでの女共とは違う
ぶつかって尻もちをついて倒れた彼女は、下着が見えていた
その下着はおむつだった
最初は何かの見間違いかと思っただけど、何度見てもそれはおむつだった
雨を吸い込んでタプタプになったおむつ
雨と混ざりあった彼女の泣きそうな顔
まるで幼子のようなそのいたいけな雰囲気は庇護欲を掻き立てていた
彼女と結婚したいと思えた、いや絶対する
そう決めてから