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社畜根性の染み着いたドラゴン娘

 

 拙者の名前はアイネ。アイネ・ナハトムジークでござる。

 (それがし)、つい先日まで友達6人とイエーイ我ら七曜ー!などとグループを作ってワイワイ楽しんでおったでござる。

 それがですぞ?急に神と名乗る存在に拐われ、ダンジョンマスターなるものをやれと言われたでござる。何とも理不尽この上ない。

 されど、某のおった世界の神も似たり寄ったりな存在でござった。ともすれば、神とは元来そのような存在なのやもしれませんなぁ。


 さてはて、前置きが長くなってしまったでござる。某、いささか戦闘狂の気があるのでござる。いざ指摘されると恥ずかしいと思う程度の心情はござってな。普段は抑えておるんでござるが、、、


「ダンジョン、、、マスター?ええ、、、?何をすれば、、、いや、でも仕事ですし。新しい上司()様がやれと仰った以上我輩に拒否などできないわけですし。ああどうすれば、どうすればぁ、、、!!」


 某の隣にて頭を抱えて嘆くこのドラゴン娘。某の同期でござる。この同期、感じるオーラが凄いのでござる。ともすれば、某のお友達と同等かもしれぬ程には強そうでござる。


 うーむ。拙者、是非とも戦ってみたい。


『よし、それじゃー解散ねー』


 神の軽い声が響いたでござる。今日(こんにち)より先はは互いにダンジョンマスターとなる身。こやつと相まみえるチャンスは長らく来ることはないでござろう。しかして、タイミングは今しかないでござる。


「神殿、少々よろしいでござるか!?」


 某はガタリと円卓の席を立ち、片腕を挙げて中央の光る玉へと呼び掛けた。


『はいはい。443番くんだっけ?どうぞ』


 神の視線が某に向いたのがわかるでござる。

 某は、手を隣のドラゴン娘へと向けたでござる。


「拙者、このドラゴン娘と戦いたく!!!」


 ここで眼をキラキラと輝かせるのがポイントでござる。友人の一人、朝倉殿が言っていたでござる。女子(おなご)の上目遣いに勝る男は居らぬと。


「!? か、かちょ、、、神様、我輩はダンジョンマスターなるものを理解するのに手一杯です。こ、これ以上の職務は、、、!!!」


 説明書を熟読し、果てには知恵熱さえ出しておったドラゴン娘。某の申し出に意見をしてきたでござる。さて、神はどの様判断するのでござろうか。


『でも面白そうじゃん。やろうよ。もちろんダンジョン運営に支障の出ない範囲で頼むよー』


「あ、ああああ、、、、、、しょ、承知致しました、、、」


 がくりとこうだれるドラゴン娘。某、賭けに勝ったござる。


『それじゃあ残りの8人は早速ダンジョン作成に向かって───』


「妾、この二人の試合を眺めとう思うのじゃが、、、よろしいかのぅ?」


 神の声を遮ったのはちょっと離れた席に座る鬼っ娘でござった。こやつも相当な実力者なのは感じておったのでござるが、それと観戦とは関係ないでござる。

 、、、むむむ。拙者の頭脳では鬼っ娘の考えていることがわからんでござる。


『いーよ。面白そうだし』


 ふわんと、一度神が揺れたかと思うと、某とドラゴン娘、鬼っ娘の三人はいつの間にやら闘技場のようなところへと送られておった。

 某とドラゴン娘は円形の武台へ。鬼っ娘は観客席に送られていたでごさる。


『はい始め』


 合図と共に某は地面を蹴り、未だ頭を抱えるドラゴン娘へと駆け出す。


 ふむ。このドラゴン娘、某の動きを完全に把握してるでござるなぁ。よほど空間把握能力に長けているのでござろう。


 某はドラゴン娘に肉薄し、刀を振り下ろす。


「ん~~~!流石でござる!!」


 振り下ろした刀はドラゴン娘の腕にて止められたでござる。この鱗、かったいでござるなぁ!某の刀の刃が一寸たりとも食い込んでござらん!


 刀を引き戻し、半歩後ろへ下がった某に向けてドラゴン娘が腕を突き出す。そこから轟々とした炎が吹き出したでござる。

 半身を傾けた某の横を炎が通り過ぎ、某の肌をチリチリと焼いて行くでござる。避けてこれとは、相当な高温。下手を打てば某、丸焦げでござるな!


「拙者らが一族の奥義!とくと受けるでござる!『虚断(うつろだち)』!!!」


 単なる斬撃で駄目ならば、技を使うまででござる。先祖代々受け継がれ、死神と呼ばれる所以と相成った技。はてさて、このドラゴン娘はいかな対処を取るのでござろうか。


「がふっ!?」


 効かなんだでござろうか?某の黒色の斬撃を、こともあろうかこのドラゴン娘は気にも止めずにつっきり某の腹へと拳を沈めおったでござる。


「労災保険、、、は、出ないんでしょうね、、、はぁ(ボソッ)」


 いや、効いていない訳ではござらんのか。見やれば、ドラゴン娘の翼の皮膜の一部が破けているでござる。

 効いてはいたでござる。然れど、某の奥義よりもドラゴン娘の耐久が勝っていただけのこと。


「楽しくなってきたでござるなぁ!」


「? 保険、多分降りませんよ?」


「『虚断・纒(うつろだち・まとい)』でござる!!」


 某から溢れる黒い魔力が刀身を染め上げたでござる。黒色と化した刀身から放たれる斬撃は、虚断には及ばずとも、単なる斬撃とは桁の違う威力を誇るでござる。


「? あの、だから保険は」


「某が先に力尽きるか、其方が先に切り刻まれるか、耐久勝負でござる!!!」


「あ、はい」


「こういったタイプは気が弱いから押せばなんとかなる」と、朝倉殿が言っていたでござる。


 斬り、斬り、拳を防ぐ。斬り、斬り、炎を避ける。素早さや技量ではドラゴン娘よりも某が一枚上手でござるが、いかんせん耐久力が敵わんでござる。

 ドラゴン娘は数度の攻防で鱗に傷がついたは良いものの、全くと言って良い程本体には傷がないでござる。

 却って某はたった十数度拳を受けただけにも関わらずかなり体にガタが来ているでござる。

 いかんでござるなぁ。打開せねばならないでござる。

 して、ドラゴン娘。其方、気付いておるでござるか?お主の鱗、一ヶ所だけ特に多く斬撃を受けているのでござるよ?


「奥義一閃『現裂(うつしざき)』」


 当然そこにぶち込めば、他よりも痛手となるというものでござろう?


「我輩のブレス。痛いので、気をつけてくださいね?」


「っっつ──────!!!!!!」


 内部浸透というやつでござろう。ドラゴン娘の口から出されたブレスは単純な破壊をもたらすそれとは異なるものでござった。衝撃波の様にして全身へと染み渡り、骨や筋肉へと的確にダメージを与えていったでござる。


「かっは、、、!!」


 ふらつき、某は刀を引き抜きつつ倒れこんだでござる。そう、引き抜きつつでござる。

 某の奥義は鱗を砕き、筋肉を裂くまでいったは良いものの、そのまま腕の骨の途中で止められてしまったのでござる。


「うむ。うむ!暖まってきたでござるなぁ!!!」


 軋む体に叱咤を出し、某は立ち上がる。骨にひびが入っているのでござろう。筋肉もかなり痛め付けられたのでござろう。動く度に全身が悲鳴を挙げるでござる!


『逆境』なる技があるのでござる。佳境である程、死に際である程、某は強くなっていくのでござる!!


「あの、そろそろ運営に支障が出るので降参します」


 ・ ・ ・


 そういえばそういう条件でござったな。


「もう、ほんのちょっと殺り会わないでござるか?」


「えっ?、、、あの、運営に支障が、、、」


 ほら、腕も半分斬れちゃってますしとドラゴン娘が見せてくるが、某が知ったことではないでござる。


「やるでござる!!」


「ええぇ、、、いや、でも、ほら、上司()様も支障が出な


「や る で ご ざ る ! ! !」


 友達の一人、朝倉殿が言っていたでござる。「社畜ってのは自我がないから押せばなんとかなる」と!!


「先っぽだけでござる!!」


「、、、、、、じゃ、じゃあ、、、少しだけですよ?」


 よし!乗り切ったでござる。

 しかして、某の野望は他ならぬ外野によって打ち砕かれたでござる。


『はい、終了ーーーー』


 神が乱入してきたのでござる!


「どうしても、駄目でござるか?」


 きゅるんきゅるんのおめめで上目遣い。両手は握って口元を隠す。少し屈んで首を80°に傾けるのがポイント。朝倉殿が言っていた、最強のおねだりポーズでござる。


『駄目だよ』


 駄目でござった。


 かくして、某とドラゴン娘と鬼っ娘は、それぞれのダンジョンへと送られたのでござる。

 某は、送られる際に戦いを止められてしょんぼり意気消沈していたでござる。そんな場合ではないとも知らずに。






魔物 強そうな魔物がやけに安いでござる

魔物 エンシェントドラゴンが1DPでござるか!?

達人       ゑ?


─────────


ダンジョン 帝国の帝都郊外に(超重要案件)!?

ダンジョン 失敗は、許されない、、、(おめめグルグル)

人間 帝国にヤバい龍のヤバいダンジョンができた件

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