★第7話ー2
「噴水の辺りに行ってみようと思うがどうだ?」
噴水の水飛沫で浮かぶ虹は、この世界でも綺麗だし楽しい気分になる。道ゆく人々も足を止めて、魅入っていたり談笑したりしているし、子供たちは大はしゃぎだ。
「良いと思うよ! この辺りだと1番沢山の人が集まってそう」
「決まりだな」
サクサクと歩いて行くリュカの後を、ルルカと一緒について行く。
「お兄さんの見た目はルルカに似てる?」
「双子じゃから当然そっくりなのじゃ! あともう一つ教えてやるのじゃ!」
「何? 何?」
「タキお前と妾で子作りも出来るのじゃ!」
「⁉︎ どういう事?」
「魔族は好いた相手によって変化出来るのじゃ! どうじゃ! 凄いじゃろ!」
「凄い!」
「ふふん!」
「もしかしてお兄さんも?」
「うむ! 人嫌いの引きこもりじゃが、能力と性能は妾と変わらんのじゃ」
「じゃあ! お兄さんがヴァレリーに一目惚れしたとか無い?」
「う〜む……どうじゃろ?」
「ブフッ」
腕を組み考えこみながらルルカが歩いていると、体の大きな男性に正面からぶつかってしまい尻もちをついてしまった。
「痛いのじゃ」
「おっと! すまねぇ。嬢ちゃん大丈夫か?」
毛むくじゃらの筋肉モリモリの手を差し伸べられて、ルルカはその手を取り立ち上がる。
「大丈夫なのじゃ」
「ん? お嬢ちゃん、まだこの街にいたのか?」
「おかしな事を言うの? 妾は今日この街に着いたばかりなのじゃ」
「じゃあ。あの娘っ子は……」
「それは妾の双子の兄じゃ! お主! ハルルを知っておるのか?」
「知っとるよ。今朝まで俺の宿に泊まっとったでよ」
「どこに行ったか分かるかの? それとツレはおったのか?」
ルルカの必死な様子に、何かを感じたのか男性は、腰を下ろして僕たちの目線に合わせる。
「黄の大地に向かうと言ってたな。長い黒髪の男と一緒だった」
「黄の大地……。黄の大陸か……それで2人はどんな雰囲気じゃった? 親しげじゃったのか?」
「親しげには見えんかったな」
「なるほどの。今日はお主の宿に世話になる。良いかの?」
「もちろんだ! この先の路地を右に曲がった白馬亭って宿だ」
「よろしくなのじゃ」
「おぅ!」
いつの間にか、リュカも僕たちの背後で話を聞いていたようで「黄の大陸とは厄介だな」と小さな声で呟いている。
「厄介って何か危険な事でもあるの?」
「黄の大陸は、ラウルとシャイナの一族の本拠地なんだ」
「じゃ! 王族って事?」
「違う。王族を裏から支配してると聞いてる。これ以上は宿で話そう」
「分かった!」
ルルカは不安なのか、僕の肩で寝ていた天音をソッと抱きあげ撫ではじめた。