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尽神日記  作者: るーく
9/17

尽神日記~3月8日~

3月8日、曇り。


夢を見た。


『彼女』の出てくる夢だ。


あの夜と同じ。


金色の月を背に、『彼女』は僕の前に立っている。


プラチナ色の髪。

赤いルビーみたいな瞳。

透けるように白い肌。


角。


『彼女』は僕に言う。



―お返しを、受け取りにきたワ―



僕は緊張しながら、『彼女』への贈り物をそっと差し出し・・・・



―あれ?ない。ウソ?ない!!―



あんなに一生懸命作ったのに!!


焦って取り乱す僕。

冷たく見つめる『彼女』。



―期待して待っていてソンした―



僕の背筋に冷たいものが走る。

顔を上げると、意外にも『彼女』は無邪気に笑っていた。

続いて、どこかの王妃様のように言い放つ。



―お返しがないなら、魂を差し出せばいいじゃない?―



(逃げよう)


僕は後ずさった。


瞬間、『彼女』の目が赤く光る。



―どこ行くの?―



それをもろに見てしまった僕は、金縛りにあったように身動きができなくなった。


『彼女』が近づいてくる。

僕は動けない。



―最後の審判よ―



目を三日月のように細めて、『彼女』は凄惨な笑みを浮かべた。



―お前の魂を―



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「いやだああああああああ!!!!!」


日記を付けていた尽神月流は夢の続きを思い出して、恐ろしさのあまり叫び声を上げた。


昨日は悦に入って「恐怖はない」なんて言ってたが、怖いものはやっぱり怖い!

あと6日。

あと6日で『彼女』が町にやってくる!

あと6日経てば、夢の続きが再現される!!


恐ろしい。

恐ろしすぎる。


逃げたい。


しかし相手は魔族だ。


この地球上のどこに逃げたって、追いかけてくるに決まっている!


堂々巡りする思考。

そうして辿り着く結論。


「作るしかない」


そう、作るしかないのだ。

それ以外の方法はない。


思いつかない。

時間もない。


夢の通りにならないように、しっかり作ってきっちり渡す。


夢は夢。

現実ではない。

『彼女』が僕の魂を取っていくという確証はないのだ!

未来は自分の手で切り開ける!!


「そうだ!自分の手で切り開くんだ!!夢に踊らされてはいけない!!!」


尽神月流は立ち上がり、さっそうと階下のおばあさまの部屋へ向かった。


ずっと前、おばあさまに言われたことを思い出したからである。



『月流や、悪夢を見たらね、人に話してしまうといいんだよ』



『そうすると、正夢にならないからね』




†To be continued.†

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