尽神日記~3月6日~
3月6日、雨。
ようやっと試験が全科目終わった。
これで『彼女』へのお返し作りに専念できる。
しかし、さすがに2日も寝ていないとすごい形相になるのか、クラスメイトの神崎が僕のクマをみつけて心配してくれた。
大丈夫だよと答えたが、正直言えば大丈夫じゃない。
体力は消耗しきっている。
けれどやることはまだたくさん残っているのでおちおち眠ってもいられない。
倒れて眠ってしまうことは簡単だ。
眠ってしまえば楽になる。
そんな甘い誘惑に、ここ2日は特に負けそうだ。
けれど僕の『尽神スケジュール』にはそれこそびっしりと『お返し作成計画日程』が組まれて書き込まれているし、昨日の英語のニアミスが響いて作業工程はより一層厳しくなっている。
1日さぼれば確実に14日には間に合わない。
そうなったら、
僕の未来は・・・
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「おしまいだアアアアアアアアアア!!!」
尽神月流は尽神一号機をフル回転させて布地を縫っていた。
「ジ・エンドだアアアアアアアアア!!!」
神業のごとき手さばきで、尽神月流はゴスロリ服を縫い上げていく!!
尽神一号機の音はタタタタタッから、ダダダダダダダダッ!!へと変じていた。
縦横無尽にはしる糸の線。
美しい直線。
滑らかな曲線。
尽神月流の全神経は指先に集中し、その精神はいつしか尽神一号機と一体になっていた。
桃源郷をさすらうような心持ちで、尽神月流は縫い続ける。
どれほど時間が過ぎたのか・・・。
尽神一号機の音が止まった。
ふっとため息を吐く尽神月流。
「できた」
今日の作業工程は終了だ。
時計を見れば、予定よりも2時間早い。
(さすが僕)
尽神月流は自画自賛した。
そして、一旦行李に入れようと布をたたむ。
「・・・・・」
何かがおかしい。
「・・・・・」
布を上に持ち上げると・・・・・、
ヘソが出た。
「シマッタアアアアアアアアアアアア!!!!!!」
徹夜は3日目に突入した。
†To be continued.†