尽神日記~3月4日~
3月4日、曇りのち雨。
雨。
降りしきる雨。
雨が降り出す前に帰ってこられてよかったな。
今日、『彼女』に送るゴスロリ服の生地と材料を買いに行ってきた。
もちろん色は黒ではない。
当たり前だ。
黒なんてチョイスしたら、それこそ一発で魂を抜かれてしまうに決まっている!!
しかしだからといってGOTH色を薄め過ぎても行けない。
『彼女』は気分を害すだろう。
こんなのはゴスロリじゃないワ!!とか言って。
結果は同じ・・・。
考えるだに恐ろしい。
故にバランス。
そう、バランスが大事なんだ!
ゴスとロリ。
この絶妙なバランスを保つことさえできれば未来が見える!!
僕なら、この尽神月流なら、できるはずだ。
落ち着いて、冷静に、取りかかるんだ。
昨日の勉強の成果を、僕の今までの経験値に加えるんだ。
運命の日まで残りあと10日。
実質作業時間は10日を切っている。
その上、学校に試験だ。
時間は削られる。
それでも僕はやらなければならない。
作らなければならない。
僕の運命のために。
明るい未来と自由な魂のために。
大丈夫だ。
こいつとなら。
尽神一号機となら。
できるはずだ。
さあ、はじめよう。
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「ふう、型紙ができた」
尽神月流はハサミを置いて一息つくと、壁掛け時計を見上げた。
夜中の2時。
草木も眠る丑三つ時。
「そろそろ寝るかな」
日が昇れば学期末試験第4日目。
世界史、数学・・・
「英語かアアアアアアアアア!!!!」
尽神月流はまたしても叫んでしまった。
近所の皆さんに『お宅の坊ちゃん悩み事?』みたいな感じで心配されていると、おばあさまから聞いたので今日は叫ばずにいようと固く誓ったのに。
英語。
尽神月流が最もニガテとする科目である。
しかもお返しにかまけて全く復習していない!!
明日が英語ということすら忘れていたのだ!!
英語は難しい。
自身の全記憶力を駆使してやっと平均点なのだ。
遅い来る眠気。
しかし今ここで眠れば魂の前に成績がアウトだ。
「くッ・・・・・」
暖かな安らぎに背を向けて、尽神月流はノートを開いた。
ただひたすらに暗記する。
単語は一体いくつある?
「がんばれ!尽神月流!!!」
その後、彼が一睡もできなかったのは、言うまでもない。
†To be continued.†