bad day.
今日も、僕は日記を書いている。
いつものように家に戻り、
いつものようにこうして机の前に座って。
いつも通り・・・。
朝からの雨が上がり、『彼女』へのお返しを持って外へ飛び出した僕は公園へと急いだ。
水気を含んだ夜の空気をかき分けるように、僕はいつの間にか必死に走っていた。
公園にたどり着くと、待っていたかのように厚くたれ込めた黒い軍艦のような雲が晴れ、
あの日と同じように『彼女』は現れた。
あの日と同じ、月を背に。
最後の審判を待つ僕は、緊張しながらお返しを『彼女』に差し出した。
『彼女』は、それを満足げに受け取り・・・
そして。
―アリガト―
ひとこと残し、あの日と同じく帰ってしまった。
一人残された僕。
あまりにもあっけない結末。
最後の審判は無罪放免。
いや、そもそも最後の審判なんて『彼女』は最初から考えてなどいなかったのだ。
僕だけが、勘違いをしていたに過ぎなかった。
一人で勝手に思い込んで、一人で勝手に悩んで、一人で勝手に期待していた。
魔界に、連れて行ってもらえるんじゃないかって。
滑稽だ。
僕は一体何を望んでいたのだろう。
『彼女』はただ人間のまねをして、行事を楽しみたかっただけだったのに。
僕は、結局『彼女』の名前すら聞けなかった。
知る必要はないのかもしれないけど。
『彼女』にとって僕は、ちょうど居合わせただけの人間だったんだろうから。
もし聞いたら、『彼女』は教えてくれたんだろうか。
けれど。
・・・それすらも。
僕にはもう、知る術が無い。
もう、会うこともない・・・。
もう二度と、会うこともない『彼女』を思って僕は・・・
泣いた。
3月14日、雨のち一瞬の晴れ間・・・そして、涙の痕。




