尽神日記~3月13日~
3月13日、曇りのち晴れ間、そして雨。
今日が最後の日記になるかもしれない。
僕が最後にしたこと。
部屋の掃除。
ずっと暮らしてきたこの部屋を、明日僕は出て行くのだ。
明日は、いよいよ最後の審判が下される日。
もう戻ってくることはできないかもしれない。
だからこそ、いつも通り、綺麗にしておきたかった。
結局僕は、いつもと変わらない一日を送ったことになる。
こんなものかもしれない。
あまりに非現実的な現実に直面すると、かえって何かをする気がなくなる。
いつもの、いつもと変わりない日々が大切なのだと気がつかされる。
午前中のうちに用を済ませ、午後はおばあさまとゆっくり話した。
僕は明日起こることをおばあさまには言えなかった。
だから、夜出かけることだけを伝えた。
けれど部屋を去り際、おばあさまは僕に言った。
『いっておいで』
と。
おばあさまは勘が鋭い。
僕が何も言わなくても、全て分かっているようだった。
だから僕も答えた。
『いってきます』
普通に出かけるみたいに、いつも通り。
これでいいのだろう。
不思議なほど、僕は納得した。
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部屋には明日に備えて作り上げた服と、特注のマシュマロの入った箱。
花束は14日当日に用意してもらえることになっている。
明日を迎える準備はできた。
明日、『彼女』がやって来る。
僕の前に。
最後の審判を下しに。
明日、『彼女』に、会う。
「明日、『彼女』に・・・」
会える。
†To be continued.†




