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引き上げ

今回はちょっと短め

——ムーンサイド——

 ユートとウラヌスが魔物討伐の依頼に出かけたあと、ギルドにはギルド協会の使者が訪れていた。

 彼の対応をすることになったのはムーンだ。彼と言ってもフードを深く被っているので男か女かわからないのだが。

 ムーンは使者を客室に案内してお茶を出す。

「ご用件は何でしょう?」

 ムーンが言うと使者は一枚の紙を静かに出した。その紙は先ほどユートが受けた依頼内容が書かれた紙だった。

「この依頼を今すぐ取り下げてくれ」

「え? たった今この依頼を受けた冒険者が魔物討伐に向かいましたが……」

「なに! 今すぐ呼び戻せ!」

 と、使者は血相を怒鳴る。

「何があったんですか?」

 ムーンが冷静に聞くと使者は冷静さを取り戻したようで一呼吸置いて話し始める。

「村の一大事ということでこの依頼には早急にAランク冒険者が派遣された。将来Sランク昇進も夢じゃないとまで言われていた若き冒険者をだ」

「この依頼はすでにその冒険者に達成されたということですか?」

「いや、その冒険者は殺されたよ。例の額に黒い石が埋まっている魔物にね。しかもこの件には魔王軍が絡んでいるという噂もある。よってギルド協会はこの依頼のランクをSランクに引き上げ、ギルド協会の最高戦力、Sランク冒険者を派遣することにした」


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