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たそがれ怪奇譚第1部 追憶篇   作者: 狐好亭黒介
追憶篇最終話前篇 神隠し
33/40

剣豪

その日、オカルト同好会は伝承にある神隠しについて『かわたれ山』の調査に行ったという…



勿論誘われたが……



「ゴホッ!ゴホッ!…」



修行の無理がたたったのか…体調を崩してしまった…



「お粥作りましたが、たべれますか?」



月影が小さい鍋にお粥を作りこちらへ持って来てくれた…



「ありがとう(ゴホッ!)」



熱は40℃近くもあり医者からは絶対安静と言われたが…



やはり心配だ…



かわたれ山の神隠しの伝承は実話で…



初代神埼家当主の狼月が神隠しに遭遇したことがきっかけで霊能力を得たというが…



神隠し事態未知数な点が多く危険極まりない怪異現象の1つ…



遭遇した人間は二度と帰ってくることはない……



ここより大分離れた場所にある『鹿山町』という所では今は終息したが、度々住民が消息不明になる事件が相次ぎ…



『神隠し事件』とまで呼ばれていた……



その原因となったのが怪異の変異種の出現……変異種は共通して固有結界を生成し獲物となる人間をそこに閉じ込め捕食するという……



最終的には天生一族が鹿山町のシンボルとも言える鹿神山に変異種を生み出す原因になった膨大な霊的エネルギーを封じたとのこと…



たそがれ町のかわたれ山でも私達が生まれる前に神隠し事件は起り……少なくとも10名の行方不明者が出たと…



その神隠しも鹿山町の変異種怪異が原因とのこと…



更にその怪異は他の怪異を捕食し…なんと喰った怪異の力を自分のものにしていたとか……



流石の月影も苦戦を強いられたが、噂を聞きつけた天生一族の協力のもと退治に成功したと言っていた。




「今のかわたれ山には特に何もありませんから大丈夫ですよ。」



「聞こえてたのか?(ゴホッ!ゴホッ!)」



「耳は良い方ですから、今は安静にもしも彼らに何かあったら私が駆けつけますから。」



月影は強い……私なんかよりも遥かに力になれる…



「風邪なんて(ゴホッ!ゴホッ!)何年ぶりだ……」



「頑張り過ぎたから、神様が少しは休めと言っているのかもしれませんね。」



そんな陽気なことを言う月影だが……私は一刻も早く戦術を自分のものにしなければならない時に……



零二達がかわたれ山に行ってしまった……



私だけだろうか…この胸のざわめきは…



月影は大丈夫と念を押して言うが…私からしたら不安でしょうがない。



「…………世界は広いですよ、私より強い者なんて沢山いるのですから…狐月はまだ若い、今は色々吸収して徐々に力をつけていけばいずれ私を超える存在になりますよ。」



「……………………」



「かわたれ山の神隠し事件……私だけではどうすることも出来ませんでした、相手は固有結界を張っているから妖気も感じ取れませんし」



「例え偶然にも発見し中に入ったはものの怪異の力は凄まじく『神刀虚月』をもってしても勝てませんでしたから。」



月影がそう語るが…『神刀虚月』が通じない怪異なんてそうそういるものじゃない……



天生てんせい 永夜ながよ………私が知る中で最強の剣豪であり霊能者と言っても過言ではない…」



「彼女は天生一族から来た者で不死の怪異を専門とし…私でも苦戦した変異種怪異をたった一撃の抜刀術で倒してしまった。」



「ヒトクイで使った抜刀の一部はその彼女から教えてもらった技なんです…彼女の抜刀の他に小刀を使った肉弾戦も得意で目では追えない程速く無駄な動きも一切ないぐらい完璧なものでした。」




「私も彼女のように小刀を使った戦法を取り入れようとしましたが、既に肉体が剣術の型にはまっていた為細かい動きを必要とする小刀術は会得出来なかったんですよ。」




「そんな時彼女は『既にある型を極限まで極めれば良い』と助言してくれたのです。」




「誰でも得意、不得意は必ずあるのですから…狐月も自分にあった戦い方をし続ければ強くなりますから」



月影にもそんなことがあったなんて知らなかった…



天生一族…聞いた話しでは『人と怪異が共存できる世にする』という思想の元で動いていて…



怪異にまで救いの手を差しのべる程の平和主義と聞く…



そんな世界が実現出来れば苦労は無いのにと思う私であったが…



夕方頃……零二から耳を疑うような連絡が月影から通じて聞いたのであった








零二の妹である理佳がかわたれ山で行方不明になってしまったと……







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