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たそがれ怪奇譚第1部 追憶篇   作者: 狐好亭黒介
追憶篇その4 ヒトクイと死神
29/40

改変者

元凶であったヒトクイの魂を刈り取った死神だったが…



「……違う…」



そのランタンのような形の容器に封じ込めた魂の火をみるなりそう呟く…



死神の業界では生前の行いが良くなおかつ老衰などの寿命をまっとうした死であれば魂の火の色は澄みきった空色をしているが……



ヒトクイ等の罪人などの魂は紫色に近い暗い色をしている、こいつの場合生前にカニバリズムをしていたことで魂の色は真っ黒に染まっていた……



だが……今回刈り取ったヒトクイは生前の死神を食ったヒトクイではなかった……



ヒトクイには違いないが……魂の色が因縁のものとは明らかに違っていたのだ。




「さてと…たしかこの辺りだったな。」




復讐もそうだが…死神はもう一つの仕事をやりのこしていた。



それは……



先ほどヒトクイに襲われた女性の魂を冥界に送るという仕事を…



彼女の寿命はまだ60年も残っていた。



死神と同じく死ぬのが早すぎたのである……本来なら生きた筈の人生をこんな最悪な形で幕を閉じることになるとは……



遺憾の極みでしょうがない…



もっと早く駆けつけていれば…



そんなことを考えながら女性の遺体を探すが、一向に見つからない。



「あれ?おかしいな…」



ヒトクイに襲われ食い散らかされた遺体だ…喪失するなんてことはあり得なかった。



それどころか血の匂いすらしないのは明らかにおかしい……




その時だ




「きゃぁあああ!!」



女性の悲鳴が響き渡ると共に別の気配も感じた…



ヒトクイだ…それもさっきとは別の個体…




すぐさま大鎌を取り出し悲鳴のした方に向かうが……




「なっ!?」




到着した時にはヒトクイは死神より先に駆けつけた男の手によって既に葬られていた。



「あ、ありがとうございます。」



ヒトクイに襲われかけた女性はその男にお礼を言うと何処かへと消えしまった。



死神は今起こったこの状況に大鎌を離せずにいた。



それもそうだ……死神が探していた女性の遺体と言うのも…紛れもない先ほど襲われかけた女性なのだから。



「あんた何者だ?死神……でもないのにヒトクイを完全に消滅させるとは……」



死神は男に目線を合わせ、簡潔な情報を読み取ろうとするが……  



死神の力をもってしても男の名前と寿命が読み取れなかった。



「……彼女はまだ死ぬべき時ではない、先ほどの女性はもう一つの命を宿していた……」



「これからの世に必要な天より贈られた贈り物だ。」



「勝手ながら死の運命を変えたことを御許しくださいませ。」



男は彼が死神だということを知って、頭を深く下げた。



「悪いが……俺は死神になってからまだ日は浅いが、上からあんたのことは聞いている」



「信じがたいが、定められた運命を改変する力を持つ存在がいると……」



「たしか名前は……フォーカス ヴァンプルギスって言う名だった気がするが」



フォーカス ヴァンプルギス……



仮の名前だが…本当の名前は無い……まさに未知の存在…



それが何でこのたそがれ町に来ているのか解らんが…



彼の力は世界の理を根本的に変える程危険な代物と聞く



今すぐ増援を呼びたいところだが…



「これ以上…私がこの地に干渉するのはよそう。」



「死神よ、これだけは忠告しておく……」



「かわたれ山の神は、かの者により創造された存在…いずれこの地に災厄をもたらすだろう。」



「来るべき日に備えよ……」



そう告げると男は瞬きする間に姿を消し……



その場にはヒトクイの魂をぶら下げた死神だけが残されていた。



彼の赤い瞳は一体何を映していたのかは彼だけしか知らない……




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