神刀虚月
「妖狐がした事はせいぜい道行く人をからかうくらいでした。」
「なので狼月は退治しなかったんです。」
「表向きは退治したという事にして妖狐を自分の家に招き入れたんです。」
「妖狐がこの屋敷で生活していた証拠もありますよ」
月影はそう言って床の間に置いてあった刀を持ってきた。
「すげえ!本物の刀だ」
淳也は興奮して刀の柄に手を伸ばした。
「やめろ!」
狐月が突然そう叫んだが…
しかし時既に遅く、淳也はすでに刀の柄に触れてしまった後だった。
次の瞬間、淳也は手に電流のような刺激を感じた。
「いてててて!?」
淳也は刀から手を離した。
「この刀は神刀虚月。妖狐の所持品です。平安時代に造られて狼月から妖狐に贈られた業物です」
月影はその刀について簡単に説明した。
「この刀には盗難防止用の装置でも付いているんですか?」
零二がそう尋ねた。
「そんな安っぽい物ではありません。この刀が淳也さんを拒絶したんです」
月影は当たり前のようにそう言った。
「?」
淳也は全く理解していないようだ。
「刀そのものが生きているような言い方ですね」
零二がそう言って笑った。
「その通り。簡単に言えば刀のツクモガミのような物でしょうか。この刀は主人である妖狐以外を拒絶するんです」
月影はそう言って刀を元の場所に戻した。
「今普通に触った!?」
淳也が驚く。
「落ちつけ。何かのトリックだ」
零二は冷静にそう言った。
「そうやって常識にとらわれると見える物も見えなくなりますよ」
月影はそう言って笑った。
「月影、もうからかうのはよせ。いい大人が小学生からかって楽しいか?」
狐月がようかんを食べながらそう言った。




