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ヒロインと王子様  作者: 虹色 マカロン
いつもの生活
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夕日の光が眩しくて一瞬目を瞑ると、息がかかるほどの距離に彼がいた。

「綺麗な藍色の瞳に吸い込まれそう...」

思わず言葉にした瞬間に、私は恥ずかしくなって俯いた。

「君は不思議な子だね。やっぱり特別な子だな」

そう言って三柴先輩は、私の唇にリップ音を残して去って行った。


「私...なんでこんなにドキドキするんだろう」



「あぁ...やっと三柴ルートに突入できたよ」

小山内奈々はコントロールを握りしめ、勝利の右手を天高く掲げた。

三柴晃ルートを目指して三か月。晃ルートは、一見簡単な攻略ルートだが、分岐で選択ミスをすると、晃の親友である波崎渉ルートに突入してしまうのだ。何度渉と結ばれたことか。いや、渉のことは嫌いではないが、私は誰でも彼でも優しくする笑顔振りまき系はタイプではないのだ。

「っていうか、晃がこんなに大胆に帰り道でキスしてくれるなんて...やっぱり眼鏡キャラはムッツリスケベよね!!!これだから眼鏡キャラはやめられないのよ...ぐへへ」

たまに微笑む姿、ヒロインを陰ながら包む包容力、知的でセクシーさを醸し出す眼鏡と切れ長の瞳のダブルパンチ。エッチをするときは巧みに言葉攻めをしてくれそうな乙女の妄想を掻き立てる眼鏡キャラは、どんな時でも私の嫁、いや、旦那であった。

ヒロインの琴子ちゃん、あんたはいい仕事をした!私は画面に向かって力強く親指を立てた。

「これほどまでに自分の妹を軽蔑したことねぇわ...お前やべぇよ、鼻血出てるし」

晃との思い出を携帯に有難く保存していると、部屋の入り口で顔を引きつっている兄の小山内悠斗がいた。

悠兄に指摘をされ鼻に触れると、確かに生暖かい感触があり、急いでティッシュを手繰り寄せる。

「悠兄、何度もノックしてって言ってるじゃん。私が彼氏といかがわしい雰囲気になってたらどうすんのよ!乙女の純情の代償を払えるの!?」

鼻血を拭きながら悠兄を睨むと、悠兄は私よりも整った顔に不敵な笑みを浮かべて、

「あぁ、晃君は旦那だったな。そしたらお兄様がお前の純情の代償を払ってやるから今すぐここで晃君とセックスしてみろよ」

「なっ!?晃様を汚したわね!許せない!最低のヤリチン野郎!これだから三次元は!」

2年前までは仏のように優しかった悠兄だが、ここ最近は何かと私の生活に首を突っ込んではいちゃもんをつけてくる。きっと高校デビューをして、ちょっと顔がいいから女子にもてはやされて、調子に乗っているのだ。

悠兄に怒りをぶつけたら何だかお腹が空いた。悠兄の脇腹にチョップをお見舞いし、足早で部屋を出ていく。何だかんだ言っても男の子である悠兄に仕返しをされたら痛い思いをするのは自分であると何度も経験しているので、そこはさっと逃げ..いや、大人の余裕でその場を離れる。


「現実も見れないお子ちゃまが三次元馬鹿にすんじゃねーよ」




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