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第2章 ラストピース
深夜、坊やは鬼怒川のほとりで、古めかしい赤装束をまとった美少女と出会った。
年は十六~十八ぐらい。ギリシャ彫刻のような完璧な顔立ちに、スーパーモデルのような完璧なプロポーションだった。月明かりに照らされた彼女は、神々しいほど美しかった。美術館に飾られた彫刻や裸婦画のようで、人間とは思えなかった。実際、彼女は川の上に立っていた。騎兵を引きずり込んでいった黒い川に。
坊やは芸術作品のような美少女JKに尋ねた。
A「味方してくれるのか?」
B「鬼なのか?」
C「おっぱい触っていいか?」
↓
A「グッボーイ。思考が早くて柔らかいんだ」
B「危害を加える気はないよ」と美少女は剣一本を少し抜いて、親指の腹を軽く切った。黒い血が垂れ出したが、傷口はすぐに癒えて血も止まった。
「君だって不安で怖いでしょうけど、私だって千年ぶりに人と話して、すごく緊張してるんだから」
C 美少女は汚物を見る目で坊やを蔑んだ。
対岸からお経の声がした。美少女は鬼の住む向こう岸を眺めて言った。
「ここから移動しましょ。状況が落ち着くまで、どこかに身を隠す。まずその体」
坊やは汚れた真っ黒な体で、首を横に振った。美少女は諭した。
「あいつは自由になりたくて、その剣と、剣を扱える君の一族を狙っている。一族は滅ぼされた。次の狙いは君の家族。あいつは罠を張って待ち構えているかもしれない。それでも行くの?」
A「家族を助けたい」
B「鬼に乗っ取られた国を救いたい」
C「君の事も守りたい」
美少女は厳しい口調で要求した。
「約束して。現場では私の傍を離れない事。私の指示に従う事。自分が足手まといだと認識して行動する事。君に助けてもらおうとなんて、思ってないから」
坊やは頷いた。「グッボーイ」と美少女はペットの犬を褒めるように褒めた。
「まだ名前、教えてなかったね。私は立烏帽子。今日から先生と呼ぶように」