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諸君、狂いたまえ   作者: カイザーソゼ
第9章 赤き血のイチゾク
81/136

9-5

 ある列車が、海岸沿いを南へ走っていた。西には波静かな太平洋が、東には瑞々しいオレンジ畑が広がっていた。空はあいにくの曇り空で、やや肌寒かった。

 秋水は列車の一等客室から、憂い顔で外を眺めていた。

 妖精のように美しい、銀髪の美少女だった。プラチナシルバーに染めた髪をストレートに下ろして、厚く取った前髪をピンで流していた。フレアミニのニットワンピースに、ウエスタンブーツを合わせて、膝上に革バックと鞘袋の刀を置いていた。微かに凹凸の浮き出た中性的な体が、ニットワンピで強調されていたが、性的なイメージは一切なく、むしろ聖性さえ感じさせた。

 乗客は皆彼を見た。何度も通り過ぎる人もいたし、話しかける人もいた。秋水は全て無視した。五秒に一回「やっべ」を口にするチャラチャラした男は根性で食い下がった。


「どこ行き?やっべ超可愛い」

「無視顔マジやっべ、君最強カワウィイ~!」

「これ?皇女様からもらったの。マジやべーっしょ」

「ウチの地元にマジやべークラブあんだわ~」


 チャラ男は管玉の首飾りを付けていた。卑弥呼しか欲しがらないような代物で、ニシキヘビ革のパンツを履いた彼には全く似合っていなかった。

 目の細い男が見かねて、二人の間に割って入った。「いい加減にしなさい」と細目は睨んで、チャラ男を退散させた。


「怖かったでしょう。もう大丈夫。旅を楽しんでください」

「刑事さんですね。皇族詐欺事件ですか?」


 秋水は外を見ながら言った。細目は驚いた。彼は安いスーツに高い時計を付けていた。姿勢は猫背でがに股だった。指の付け根は黄色く硬くなっていた。


「手のタコと姿勢から柔術経験者。高い時計は犯人に舐められないため。だから刑事。ここにきた時からずっと彼を見ていましたね。二人組で監視していた。正体がバレるのも恐れず助けてくださり、感謝しています」


 秋水は礼を述べた。細目は秋水の前に座って、警察手帳を出し、小声で尋ねた。


「どこの捜査機関の方ですか?私、勝山州警本部刑事部捜査二課のシルバと申します」

「……無垢なる子供の死旅団。王下虐殺機関特務666部隊、通称無垢なる子供の死旅団の第零番隊長、カル・ミカミ(水神狩流)です」

「ふ、ふ~ん……」

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