↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
諸君、狂いたまえ   作者: カイザーソゼ
第8章 羽虫の河
PR
74/136

8-9-B

 B 坊やは右手を王子に向けた。指先から、黒い稲妻がほとばしった。王子は弱々しい声で頼んだ。


「日本は数年持たん。次に食われるのはこの大陸だ。だが、下は永遠に平和が続くと信じ、上は無意味な争いを繰り返している。俺はこの大陸を統一して滅びを防ぐ。無理だと笑うか?俺は、俺を笑う奴は、一人残らず捻り潰してきたよ。

 俺を殺すなら、俺の革命を継げ」


 坊やは驚いた。誰にも頼らない男から頼まれるなんて。


「新たな皇帝となって、欧米人から大陸を救え。鍵はもうお前の手の中にある。そしてアジアと同盟し、アメリカ、ヨーロッパに上陸して、世界の果てまでも帝国領としろ。その時、この大陸は完全に救われる。世界に永久の平和が訪れるだろう。

 俺はここで死ぬ。だが、次の魔王はお前だ!」


 坊やは黒い電撃を放射して、王子を焼き殺した。部屋の中に、甘い匂いと黒い煙が充満した。部屋の中央に、例の「蟠龍起萬天」の旗が飾られていた。坊やはその旗を掴んだ。彼の全身が黒い稲妻に化けて、船を突き破り空を飛んだ。

 港の灯台から、秋水達は戦いの様子を見守っていた。沖合で、魔王の船が炎上していた。船から立ち昇る一本の黒い煙が、一直線に空へと駆け上がる龍に見えた。

 船から、一筋の黒い稲妻が打ち上がった。魔王の船は炎上して沈んでいった。

 稲妻は港に落ち、それが坊やに変化した。坊やは「蟠龍起萬天」の旗を掲げた。

 港の兵士は万歳を叫んだ。灯台から見ていた幹部スタッフも大声を上げた。騒ぎを聞き付けて、港に市民が集まってきた。魔王の旗を持つ坊やを見て、市民も事情を察した。


「坊やが魔王を討ち取ったぞ!」

「勝ったどー!」

「万歳!千代浜万歳!」


 人々は涙を流し、抱き合い、声が枯れるほど叫んだ。誰もが我を忘れて喜んだ。歓喜の渦の真っ只中に立つ坊やを、秋水は冷静に見つめた。

 大好きな兄の表情は、今までに見た事がないものだった。彼の目は、感情をなくした虫の目とも、復讐に燃える黒い目とも、はい喜んでの感謝の目とも違っていた。強いて言えば、そう、あの魔王のような……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。