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南の港の灯台から、秋水と幹部スタッフは静かな夜の大河を見下ろしていた。秋水は言った。
「戦死者の数と勝敗は関係がありません。幾ら人が死んでも、指揮官が『まだやる』と言えば、補給が続く限り現場は戦わされます。いつかは絶対に勝てるでしょう。
この点において、我々の司令は誰にも負けません。司令は何人死んでも平気なのです。何とも思いません。一万人の断末魔を聞きながら、優雅にティータイムを楽しめる方だ」
街一番のビルの屋上から、サンキュー司令は燃え盛る夜の戦場を眺めていた。秋水は「何とも思わない」と断言したが、それは間違っていた。彼は楽しんでいた。自分の命令で、十八万もの敵味方が殺し合う事に。善良で勇敢な兵士達が、僅かな土地を奪い合って無意味に死んでいく様を、彼は恍惚の表情で眺めていた。
「ですが魔王はそうではない。いや、彼も何人死んでも何とも思いません。ただ合理主義の彼には、その無駄が耐えられない。焦れた彼は、簡単に勝てる方法を探し出す。ですがプロが考え抜いた要塞に、都合よく弱点なんてあるはずがない。あると考えるのは、傲慢で、いつも他人を見下しているような、魔王のような人間だけです。だから彼は、都合よく作られた弱点に必ず食い付く。
兄は魔王に持久戦を挑もうとして果たせませんでした。兄の戦術で、兄の恨みを晴らします」
大量の死が人々の感情を失わせ、狂わせていた。虫と、虫のような人間しかいない戦場だった。秋水も例外ではいられなかった。今の彼は、かつての兄と同じ目をしていた。




