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1-5-B
B 大竹は火山腕でナックルパートを打ち込んだ。炎の腕は坊やと蒸気船を吹っ飛ばし、川の中ほどまで伸びていって消失した。坊やと船は蒸発した。地面と水面に赤い直線が一本刻まれたが、やがてそれも消えていった。
数秒前まで坊やが立っていた場所に、無傷のソハヤが落ちていた。
大竹の右腕から、黒い炎の義手が生えてきた。大竹は恐る恐る、義手の人差し指でソハヤの鞘を触ってみた。ピリっと痛みが走るぐらいで、爆発はしなかった。「ああ、でもちょっと痛いなあ。よし、よし」と言いながら、大竹は炎の義手でソハヤを持ち上げた。
大竹は向こう岸を眺めた。並び立つ巨大な肋骨が、鉄格子の檻に見えた。大竹は向こう岸に呼びかけた。
「今すぐ剣を破壊して檻から出してやりたいが、こっちにも計画がある!悪いが少しだけ待ってくれ、仲間達よ!自由はすぐそこにある!」
大竹はソハヤを持って、その場を一人後にした。
数ヵ月後、世界は滅んだ。新しい鬼の世が始まる。
(終わり)