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諸君、狂いたまえ   作者: カイザーソゼ
第7章 鉄と炎の湖
59/136

7-6

 晴れた夜、雲のない空に明るい月が浮かんでいた。月明かりに照らされた湖畔の敵中央軍は、未だに意気揚々としていた。彼らはいつも通り陽気に飯を食い、歌を歌った。

 駅のホームで列車を待つ補給部隊は、さすがに沈んだ表情をしていた。ここ数日、まともに列車がやってこなかった。

 北から、コンテナを載せた補給列車がやってきた。列車の動きは遅く、吐き出す煙も弱々しかった。列車はブレーキを使わず、汽笛も鳴らさず、半分以上オーバーランして自然停止した。

 補給部隊は慎重にコンテナを開けた。中から大量の青い血と、味方の死体が溢れ出してきた。

 四方から砲音が轟いた。澄んだ星空に、禍々しい赤い軌跡を幾条も描いて、大小の砲弾一万発が敵陣に雪崩落ちてきた。

 敵中央軍は一挙に燃え上がった。突然のブラスト連打を浴びて、敵は茫然自失となった。彼らは何も分からないまま吹っ飛ばされた。赤く染まった湖面は沸騰してあぶくが立ち、魚が白い腹を見せて浮かび上がった。

 四方を包囲した王子軍は、敵に間断なく砲弾を浴びせかけた。湖畔の一帯は炎に飲み込まれ、その炎を押し潰すように大量の砲弾が落とされて、敵は何時間でも焼かれ続けた。

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