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諸君、狂いたまえ   作者: カイザーソゼ
第7章 鉄と炎の湖
55/136

7-2

 王都の偽二条城の一室で、王子以下、王国軍の首脳部は作戦会議を開いていた。部屋には大きな配置図が張り出されていた。

 笹竜胆の旗を掲げた北部王国は、東部軍、中央軍、西部軍の三軍に分かれて南下していた。その数三十五万。三方から進撃して、中部中央にある王都手前で主力決戦を行う構えである。

 対する王国軍は十万。東部、西部に各二万。中央に三万。そして王都手前に精鋭三万が控える布陣である。小局面では幾つかの勝利を収めたものの、敵の勢いは止められず、王都に向かって後退を余儀なくされていた。

 戦争直前に千代浜が王国から独立したが、敵は事前に策定した軍事計画を変えなかった。このため、敵西部軍はそのまま千代浜領に侵攻していた。

 敵西部軍は、秋水とテリーの完璧なリトリート(対峙したまま徐々に後退する)で進軍を遅らされていた。王国西部軍は千代浜と王国領の境にある要塞に篭もって、この戦いには加わらなかった。

 敵の事前計画では、左右が突出するクワガタの形で進軍する事になっていた。しかし現在、敵の陣形は、右角が長く左角が短い、不完全な形になっていた。

 配置図には、一帯の線路網も描かれていた。王国側の鉄道は四方八方に延びていて、メロンのようだった。一方、北畠の鉄道は縦一本の寂しい形で、スイカのようだった。敵は戦うほどに、進むほどに補給に苦しむだろうと思われた。そして兵站途絶の影響は、パンツ公方が指揮する中央軍よりも、東部軍の方が大きいだろう(国王を飢えさせる訳には行かない)とも予想された。

 つまり敵のクワガタの形は、いずれカブトムシの形になるだろうと思われた。

 会議室の大竹は、配置図の前に立って、王子やスタッフに状況を説明した。


「敵は三軍に分かれて南下しています。シュティンドル将軍の東部軍十万、北畠王の中央軍十五万、ドラクスラー将軍の西部軍十万。概ね想定内です」


 将軍達が口々に意見を述べた。


「千代浜と北畠が組む最悪の事態は避けられた」

「秋水は北畠を許さんよ。組むなど有り得ん」

「土地は幾らでも取られていいが、鉄道だけは絶対に確保しろ。我々の命綱だ」


 王子は立ち上がって言った。


「敵の動きはいずれ止まる。その時が勝機だ。部隊は機械仕掛けの精密さで動かせ。遅れは一時間まで許す」


 王子は一人で部屋を出て行った。大竹は慌てて後を追った。他のスタッフは頭を下げて見送った。

 部屋を出てすぐの所で、大竹は王子に追い付いた。


「どこへ行かれるのです?」

「前線だ」

「……」

「計画が完璧過ぎて暇だ。司令部でファッション誌でも読んでろと?」

「一緒にモテカワコーデに詳しくなりましょうよ!今年の流行は大人カワイイ!」

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