50/136
6-8
秋水&テリー部隊は、複数の小チームに分かれて三の丸屋敷に突入した。
薄暗い廊下や部屋に、敵兵の死体が幾つも転がっていた。背後から頸動脈を切られており、どれも大量出血してうつ伏せに倒れていた。
秋水と兵士二人はランプを掲げて、青い血の海の廊下を進んでいった。背中に視線を感じて、秋水は振り返った。鼻の大きな兵士が立っていた。「何か?」と尋ねると、兵士は小声で答えた。
「軍師殿、鈴木元治という男を知っていますか?」
「ええ……」
「軍師殿の兄上に一族皆殺しにされた男です。俺の父です!」
鼻の大きな兵士は拳銃を一発打った。玉は秋水の頬をかすめた。もう一人の兵士が彼を取り押さえた。秋水は隣の部屋に逃げ込んだ。
銃声を聞き付けて、他の部隊がやってきた。「大丈夫ですか!?」「軍師殿!」と彼らは戸越しに呼びかけた。
「大丈夫。構わず捜索を続けてください」
秋水は柱にもたれかかって頬を拭った。手にはうっすらと赤い血が付いていた。




