表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
諸君、狂いたまえ   作者: カイザーソゼ
第5章 城巻き姫
42/136

5-11

 土埃が濛々と立ち込めるクレーターの中心に、坊やは荒い呼吸で立っていた。

 彼の足元に、裸のテリーが横向きに倒れていた。無駄な贅肉が付いていない、女性アスリートの体だった。手足は引き締まっていて、お腹はうっすら六つに割れていた。それでいて、腰やお尻の辺りは女性的な柔らかさに溢れていた。

 坊やはソハヤを抜いて、彼女の脇腹を突き刺した。引き抜くと、青く光る剣先に、体内に潜んでいた大竹の手が刺さっていた。手は湯気となって消滅した。テリーの瞳の色が、赤から元の緑に戻った。

 ソハヤの暖かい光が周囲に満ちた。「どうして……?」テリーは消え入りそうな声で尋ねた。坊やは剣を鞘に納めて答えた。


 A「テリーが助けを求める目をしていた」

 B「敵が友になる。その時、敵を完全に滅ぼしたと言えないか?」

 C「いいからおっぱいを見せろ」

 ↓

 A「助けなんていらない!あのまま死なせてくれたらどんなに……」


 B「今まで、負けたら死ぬって思ってた。負けたら、こんな気持ちになれるのね。勝ちしか知らないって、とても脆い事……」


 C「私の見たって何も楽しくないよ。鈴虫がキュウリ食べてるの見てる方が百倍楽しい」


 坊やは自分の上着を裸のテリーに掛けてあげた。彼女はゴロンと仰向けになって、坊やを見上げながら優しい気持ちを伝えた。


「蛇の中で、色んな事を考えてた。どんな事を思っても、最後は必ず家族に行き着くの。おじいちゃんに会いたい、パパに会いたい、アシュリーに会いたい、死んだママに会いたい。蛇の中で、ずっと助けを待ってた。また、皆に会える。ありがとう……」


 坊やは頷いた。ずっと眉間に皺を寄せていたテリーが、穏やかな表情で微笑んだ。

 しかし分身でこの強さ。本体を倒すには戦力が足りない。雉とか猿とか、ともかくお供を増やす必要があった。そうして、思考の死角から強力な一撃を叩き込む……

(続く)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ