表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
諸君、狂いたまえ   作者: カイザーソゼ
第5章 城巻き姫
41/136

5-10

 坊やは本丸矢倉の屋根に着地した。蛇巨人は炎を吐き下ろした。坊やは空中に、大きな鬼の上半身の骨を出した。骨はボクサーのようにガードして、蛇巨人の炎を防いだ。

 先生は本丸御殿の傍に着地した。アシュリーが下唇をグっと噛んで、涙を我慢しながら蛇巨人を見上げていた。先生は電撃曼荼羅シールドを展開して、飛び散る炎から彼女を守った。降ってきた瓦礫は、三本の剣ファンネルが雷や剣撃で破壊した。

 通りに出た市民は、矢倉上の少年を見つめた。誰かが、「頑張って!」と応援した。皆がぽつりぽつりと、応援の言葉を口にし始めた。人々のまっさらな心は、やがて怒涛の応援コールとなった。


「がんばれー!」

「お願い、助けて……皆を守って……」

「勝てえええええ!」


 蛇巨人は口を大きく開けて、黒血を滝のように吐き出した。地面に落ちた血は大小無数の蛇に化けて、三人に向かってきた。

 坊やは矢倉から降りて、アシュリーの前に仁王立ちになった。黒蛇の大群が押し寄せてきた。彼の背中はとても大きくて、頼もしく見えた。先生は坊やに言った。


「いい?ここから全力だよ?ミスしてもカバー出来ないからね」


 坊やは頷くと、アシュリーを守って後退した。

 先生のお尻から、白い犬の尻尾が生えてきた。先生は右手、左手、そして尻尾に剣を握って三刀流になった。剣は黒稲妻を放って、七支刀の形の雷刃を形成した。先生は稲妻七支刀三刀流で蛇巨人に飛びかかった。

 先生は空中で蛇巨人を叩き切り、高速降下して地上の群れを切り裂き、再び高速上昇して蛇巨人を攻撃し……スーパーボールの動きを高速反復した。黒い光が城全体を跳ね回って、地面を覆う蛇の群れと、そそり立つ蛇巨人を同時に削り取っていった。

 地面の色が黒から茶に、天守閣より大きな蛇巨人が矢倉の大きさに変化した。先生は一際高く跳ね上がった。全身傷だらけの蛇巨人は空を見上げた。

 地上のかゆうま坊やは、天守閣より大きな右足でキックを叩き込んだ。蛇巨人は川の方へ吹っ飛んでいった。坊やはかゆうまモードから黒血モードに慌ただしくチェンジすると、黒血スーツダッシュで城の屋根を駆け抜けて、川の方へ向かった。

 先生は本丸矢倉に着地した。彼女は弟子の背中に向かって、「行け」と呟いた。

 通りの市民は、声や拍手や口笛で応援した。カメラマンは夢中でシャッターを切った。先生の姿も撮られた。


「いっけええええええ!」

「頑張ってー!勝ったらデートしてあげるからあー!」

「決めろおおおお!」


 坊やは城からジャンプして、空中でモード切替、吹っ飛ばされた蛇巨人に両足かゆうまのドロップキックを打ち込んだ。蛇巨人は今度は河口まで吹っ飛ばされた。

 坊やは落下しながらモード切替、黒血スーツで水面を忍者のように駆け抜けて、再び大ジャンプ、空中でモードを切り替えた。坊やのかゆうま両足が、四本に増え、八本に増え、六十四本に増えた。坊やはかゆうまタコ足で暴風雨のようなキックラッシュを繰り出した。蛇巨人は全弾食らって沖の要塞島まで吹っ飛ばされていった。

 坊やは落下しながらモードを切り替えて、黒血スーツで水面に降り立った。彼は水上でクラウチングスタートの態勢を取った。息を吐き出して精神を集中した後、坊やは蛇巨人の懐目がけて鋭く飛び上がった。足元の水面が、ジャンプの衝撃で丸く抉れた。


「勝てやあああ!」

「ぶっ飛ばせええええええ!」


 坊やは黒血スーツのまま右腕を膨らませた。血が所々剥げて、人間の姿が剥き出しになった。右腕は島ほど大きなかゆうま腕になった。坊やは島腕を全力で振り下おろして、要塞島ごと蛇巨人を叩き割った。キノコ雲が立ち上り、木々や土砂が大量に飛び散った。

 市民は歓喜の雄叫びを上げた。彼らは見ず知らずの者同士で抱き合い、泣きじゃくって勝利を喜び合った。滅びかけた街は、一転して歓喜に溢れ返った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ