5-6
三人は天守閣内部に突入した。一階廊下に、軍服姿のテリーが立っていた。彼女の後ろには、二階に続く階段があった。決死の覚悟でこの場に臨んだ彼女も、妹の姿を見て心が揺らいだ。テリーは坊やを睨んだ。
「妹まで使って……卑怯者!それで私の剣が鈍ると思った!?」
「違うよ!私は自分で決めて来たの。ご執政は間違ってる」
「それが?私は主のために生き、主のために死ぬだけ」
「主が正しいかは考えないの?お姉ちゃんの事心配している家族の事は考えてくれないの?」
「彼を逮捕して引き渡せば、千代浜は救われる。私は将軍になれる。もう誰にも何も言わせない。ここで勝たなきゃいけないのよ!私を軍人にさせた家族が、今更何を心配するの!?」
父と同じように、娘もこのピンチをチャンスと捉えていた。もう一人の娘は涙を浮かべて叫んだ。
「どんなに嫌われたっていい!無視されたって、叩かれたっていい!お姉ちゃんの事大好きだから、助けたいんだよ!」
坊やと先生はアイコンタクトを取って、仕掛けるタイミングを図った。テリーは拳銃を抜いて、自分のこめかみに当てた。
「動かないで!私を助けに来たんでしょ!?」
テリーは一升瓶に口を付けた。が、彼女はすぐに黒い液体を吐き出してしまった。
坊やはソハヤの鞘の切っ先で床を突いた。一階廊下が鬼の腸に変化した。木の床や壁は、不気味にうねるピンク色のヒダヒダに化けた。ヒダヒダから大量の触手が伸びてきて、苦しむテリーの手足を縛った。
先生は「今すぐここから出なさい。後は任せて」とはアシュリーに指示した。アシュリーは心から頭を下げて、天守閣を出て行った。




