31/136
4-6
王都郊外の武器工場に、大量のアームストストロング砲が並んでいた。大砲だけではなかった。長射程高威力の新型ライフル銃や、新型ガトリング砲も多数陳列されていた。(外国の王家のマークが刻印された)輸入兵器も多かったが、(中部王家のマークが刻印された)国産兵器も沢山あった。しかし人は誰もいなかった。
この無人の武器工場を、愛らしい五郎八姫と、悪羅悪羅坊主の大竹が見学していた。大竹はいつもの軽い調子だったが、五郎八は見るからに怯えた様子で、ずっと体を震わせていた。大竹が言った。
「今はとっても苦しい時期なんだ。北は一ヶ月もしない内に攻めてくるだろう。南はどうかな。まあ直に攻めてくる。このままなら、この国は滅びちゃうなあ」
二人は黒い鎧が飾られたフロアに移動した。黒漆塗り五枚胴と呼ばれる戦国時代の鎧が、大量に飾られていた。一番手前には伊達政宗モデルの黒鎧があって、烏天狗の面頬(鉄のマスク)を付けていた。
「だからね五郎八ちゃん。お父さんを助けて欲しいんだよ」
(続く)




