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大竹は素早く立ち上がって、両腕を高く掲げた。鼻からは黒い血が垂れ落ちていた。
本丸御殿の上空に、ハレー彗星と見まがう青い大火球が形成された。大竹は両腕を振り下ろした。炎のハレー彗星が本丸御殿に降ってきた。
御殿の二階から、白い炎の翼をまとい、白い炎の刀を手にした五郎八が駆け上がってきた。五郎八は炎の刃で、青い彗星を下から二つに切り裂いた。
大竹は青いビームを御殿一階の穴に発射した。
私室の穴から坊やが飛び出てきた。空からは五郎八が急降下してきた。二人は穴の前に立って、黄金骨の体と白炎の盾でビームを弾いた。
五郎八は振り返って、穴の向こうにいる母親を見た。母親は涙ぐんで頷き、五郎八は嬉しそうに小さく手を振った。鬼庭と青服隊は愛を守って後退した。
大竹は鼻血を拭いて、五郎八に話しかけた。
「悪い子だなあ。親に手を上げる気かい?」
女王は大竹に刀の切っ先を向けて叫んだ。
「ママを傷付けたお前は、絶対、絶対許さない!もう誰も、お前のせいで悲しませない!
お前なんかにこの国を渡すもんか!私が、ママとこの国を守るんだ!お兄さん、力を貸して!」
坊やは頷いた。
大竹の失われた右手から、黒い炎の義手が生えてきた。更に、両手の平から白い炎の刀が生えてきた。
「二体一なら勝てると思ったか?」
坊やは先手必勝で正面から突きかかった。大竹は切っ先を噛んで止めた。五郎八は真横から袈裟切りで切りかかった。大竹は逆袈裟で弾き上げると、がら空きの胴体を蹴り飛ばした。
大竹は右手の高速三段突きで突きかかった。坊やは受け立ちになって後退した。
五郎八は大竹の背後に回り込んで切りかかった。大竹は左手の刃で弾き返した。五郎八は更に片手平突きで突きにいった。大竹は振り返ると、同じ平突きを真正面から打って吹き飛ばした。
坊やは右から、五郎八は左から同時に飛び込んで、大竹に激しく刃を浴びせかけた。大竹は余裕の表情で左右の斬撃を捌きつつ、時折突きに行って二人を脅かした。
坊やは黄金骨の体を筋肉で覆った。スピードが落ちて、パワーが増した。大竹は義手の右腕を太くして、坊やの攻撃に対応した。
左側では従来通りムチを打ち合う素早い攻撃が、右側ではマサカリで叩き合う重々しい戦いが繰り広げられた。大竹の赤瓢箪は、腰の左側に吊るされていた。
二人は大竹の前後に回り込み、再び激しく切りかかった。大竹は左手で正面の五郎八に、右手で背後の坊やに対応した。彼は一切振り向かずに全ての斬撃を捌き切った。後ろに目があるかのようだった。
二人は大竹の両サイドに回り込んだ。今度は五郎八が右側、坊やが左側になった。大竹の右腕がしぼみ、左腕が膨らんだ。
坊やは赤鬼モードに変身すると、超高速で瓢箪を奪って逃げた。
大竹が追ってきた。赤鬼坊やは地面に刀を突き刺した。
大竹の足元から、黄金の背骨や肋骨が大量に生えてきた。大竹は骨を避けて大きく飛び上がった。五郎八は白い炎の翼でそれを追った。両者は空中でまた激しく切り結んだ。
坊やは瓢箪の蓋を取って言った。
A「来い、鈴鹿!」
B「三対一ならどうなる?出ろ鈴鹿」
C「鈴鹿様!このウジ虫の元にお出ましいただけますでしょうか!」
↓
A 瓢箪の中から、力強い返事が聞こえた。「……はい!」
B 瓢箪の中から、優しい返事が聞こえた。「はい」
C 瓢箪の中から舌打ちが聞こえた。「……チッ」
瓢箪から黒い液体が飛び出してきた。液体は地面に落ちて、黒い水溜りとなった。その水溜りの中から、マニキュアを塗った先生の手が伸びてきた。坊やはその手を掴んで、水溜りの中から先生を引き上げた。
先生は赤鬼に化けた姿と、血吸の太刀に刻まれた盟約の証を見て、頑張ったのね」と労った。
「君なら絶対にやってくれるって信じてた。ありがとう」
先生は素直な表情で感謝した。




