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諸君、狂いたまえ   作者: カイザーソゼ
第11章 命もいらず、名もいらず、官位も金もいらぬ人
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11-8

 坊やの左腕から、皮膚を突き破って豆の苗が一本生えてきた。両足の裏からは根が生えてきた。坊やは片手で苗を抜き、足を順に上げて根を抜いた。

 手の皮膚が固く、緑色になってきた。坊やの体は豆の木に化け始めた。

 百万の敵は、数に物言わせて何度も攻めてきた。坊やは果敢に応戦して、敵に一歩も岸を踏ませなかった。

 豆の木化が加速した。関節が固まって、手と首以外動かなくなった。足は根に、胴は幹になった。顔は緑色になった。

 光の兵器群の数が減って、火力が落ちてきた。敵は一旦止まって様子を見た。

 坊やの背後には、不気味な豆の木が大量に生えていた。豆の木の幹は複雑に隆起していて、それが苦悶する人の顔に見えた。

 血吸の太刀は、鬼の血も人の血も等しく吸う刀だった。

 坊やの左腕が、指先まで真緑に固まった。右腕も固まりかけて、その手から太刀が落ちた。

 光の兵器群は全て消滅した。敵は全軍で突撃を仕掛けてきた。

 太刀は粒子を急速に放出して、未完成の光の戦艦大和を形成した。しかし大和からは何の玉も出なかった。

 坊やは右手で大和を掴むと、敵に向かって無理矢理放り投げた。超ド級戦艦が空を飛んで、敵陣のど真ん中に落下した。

 坊やの右腕は完全に固まった。彼は太刀を取ろうとして下を向き、その状態のまま首も固まってしまった。

 頭や耳から苗が生えてきた。両目は豆になって地面に落ちた。坊やがえづくと、口から唾の代わりに葉っぱが出てきた。舌は苗に変わっていた。

 坊やは最後の力で顔を上げた。両目の穴は空っぽで、真っ黒だった。彼はそこで完全に固まってしまった。

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