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諸君、狂いたまえ   作者: カイザーソゼ
第10章 天使の証明
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10-10

 前を遮っていた黒ローブが消えた。二人は南側の玄関から屋敷を出た。

 玄関前にマスコミが集結していた。彼らは何があったのかしつこく聞いてきた。ゆるパパは「いいから逃げろ!逃げろ!」と彼らを押し退けながら進んだ。

 ピアースは振り向いた。玄関に大竹が立っていて、タオルで血を拭いていた。ピアースは信号弾を打ち上げた。

 マスコミは信号弾に驚いた。血まみれの大竹を見て、彼らは更に悲鳴を上げた。

 屋敷の前に黒い雷が落ちて、青い痴女スーツの先生が現れた。マスコミは喝采を上げた。カメラマンはシャッターを切った。


「銀髪の剣士様だよ!あの時の!」

「助けに来てくれたか!頼む何とかしてくれ!」


 先生は剣を抜いて二刀流になった。大竹は玄関から出て、彼女と対峙した。

 大竹の後ろに五重塔が見えた。その最上階に、行方不明になった三人の子と、彼らに銃を突き付ける黒づくめの部隊が見えた。遠いので声は聞こえなかったが、子供達は大泣きしていた。

 先生は弱々しく刀を下ろした。

 大竹は拳銃を打った。銃弾が彼女の額を貫いて、黒い血を飛び散らせた。大竹は銃を連射した。先生は体を何発も打ち貫かれて、大の字に倒れた。マスコミは絶叫して逃げ出した。

 大竹は先生を指差した。


「この化け物をよく見なさい!大丈夫です!何があっても私が守ります!」


 マスコミは彼の強い言葉に促されて、その場に留まった。

 先生は黒い血を流していた。その傷はあっという間に塞がって、元通りになった。マスコミはざわついた。


「……どういう事?気持ち悪い」

「何だこの女、血が黒いぞ……」

「こいつ人間じゃない!鬼だ!」

「何で鬼がここにいんだよ!?」

「殺せよ!ぶっ殺せ!」


 マスコミは聞くに堪えない罵声をぶつけた。

 先生は無言で立ち上がった。大竹は自分の瓢箪の蓋を取って、その口を彼女に向けた。


「鈴鹿山の鬼姫がこんなになっちゃうだから、都会は怖いよなあ。でも、人間って阿片みたいに最高でしょ?ねえ『鈴鹿』?」


 人間の罵声を浴びながら、先生は「はい……」と答えた。彼女の体は形を失い、大量の黒い液体に化けた。大竹の瓢箪は、一滴残さずその液体を吸い取った。大竹は瓢箪に蓋をして、マスコミに宣言した。


「皆さん、これが桃太郎の裏の顔です!奴は密かに鬼と手を結び、皆さんを騙していたのです!この交渉も、我々を暗殺するための罠でした。私が交渉の席で問い詰めるや否や、奴は豹変し、重臣を殺して逃亡した!先王陛下を殺したように!王子殿下を殺したように!全ては!邪悪な鬼の帝国を築こうとした奴の自作自演の英雄譚だったのです!」

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