表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
諸君、狂いたまえ   作者: カイザーソゼ
第10章 天使の証明
106/136

10-9

 葵の間の大竹は、笑顔で坊やに話しかけた。


「鬼怒川でお会いして以来ですね。剣一本でよくここまでのし上がった。ヒーローごっこ、楽しかったですか?」


 ゆるパパは謝罪を求めた。


「撤回していただきたい。我が主に対して余りにも無礼だ」

「この数ヶ月、君はあらゆる人から注目されて、チヤホヤされた。何をやっても絶賛された。今じゃ、君を見た女の子が気絶するくらいだ。君の名前は、実態以上にブクブクと醜く膨らみ切ってしまった」


 ピアースは開き直った。


「人気が過熱している事は気になっていた。しかしそれがどうした?悪名を垂れ流す魔王よりはましだ」


 今度は重臣がいきり立った。


「貴様撤回しろ!」

「お前の主は大逆犯だろうが!」


 大竹は涼しい顔でピアースに答えた。


「軍人さんは知らないかな。何故バブルが悪とされるか。弾けた時、元に戻るんじゃない。元より何倍も悪い状態に落ちるからです。そして弾けないバブルは存在しない」

「だとしても、今は弾けない。今日ここで、西海岸三国を統一して大王になるからだ」

「このバブルは私が作りました。そして私が潰します。君が何かするたび、『坊やさん素敵!』『坊や最高!』って世間に喋らせてたの、あれ私です。千代浜は暇人が多いから、簡単な腹話術でした」


 床の間側の戸が開いて、黒づくめの部隊が乱入してきた。坊やは骨の壁を張って、部屋を二つに隔てた。

 黒づくめの部隊は、床の間側の重臣を打ち殺した。


「話が違うじゃないか!」

「大竹!大竹!」


 泣き喚く彼らを、黒づくめの部隊は容赦なく銃で打ち、刀で刺した。返り血を浴びた大竹は「『敵』を殺すと言ったんです」とそっけなく答えた。

 三人は部屋を飛び出した。廊下の先に、黒いローブを羽織った人物が立っていた。黒ローブは三人に右手を向けた。その手には、黒い鎧武者の手甲が嵌められていた。

 後ろから、骨の壁を炎でこじ開けて、血まみれの大竹がやってきた。

 三人は前を黒ローブに、後ろを大竹に挟まれた。

 坊やは全身を鬼の骨で覆って、廊下の壁に体当たりした。壁に穴が開いた。坊やは連続体当たりで屋敷にトンネルを掘り進めた。そして最後の壁を突き破ると、全身を骨のドリルに変えて、北の庭にダイブした。

 黒ローブは全身に炎のドリルをまとった。ドリルは坊やを追って、壁にトンネルを掘り、北の庭に飛び込んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ